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04 これはこれで楽しいような

 朝起きて一番にすることは、SNSのチェックだ。  まずリプライがないかチェックして、他に反応をもらっていないかチェックする。  引用リポストで、批判的な意見と擁護的な意見の両方がきていた。  二日前にあげた謝罪文に対する反応だ。  昨日はもっと数が多かったけど、今日はいくらか少ない。  楓の言う通り、早々に謝罪をしたのは正解だったみたいだ。  楓が作ってくれた謝罪文は誠実そのもので、そつがなかった。  雪希が自ら考えていたら、もっとお粗末な謝罪になっていたことだろう。間違いない。  もっともそのせいで、『本当に本人が考えた文章?』と疑う人もいたけど、まぁそのあたりは仕方ない。スルーしよう。  頭が痛くなるのは、謝罪する前にアカウントに鍵をかけたことをねちねち批判してくる意見だ。  楓にも『その対応はよくなかったですね』と言われたが、あの時の雪希はパニックで、とにかく問題の発言を隠すことで必死だったのだ。  昨日は、担当編集者からお叱りの電話もかかってきた。  とりあえず仕事がなくなることはなさそうだが、綾瀬ユキ名義のアカウントで、仕事に関するお知らせ以外をすることを禁じられた。  ちなみに綾瀬ユキというのは、雪希のペンネームだ。  布団を出たら、家の中なのに息が白かった。  いつもだったらここでSNSの投稿画面を開くところだが、思いとどまって、隣に並ぶ緑のアイコンを押す。  ジェイソンみたいな仮面のアイコンのトーク画面を開いて、 『今日、寒すぎ』  と送った。  送信相手に指示された通りの、SNSにつぶやくかわりのひとりごとだったのだが、五分ぐらいして、返信がきた。 『今テレビに、ナイトウォークの主題歌の人が出てますよ。6chです』  雪希は慌ててテレビのリモコンを取る。  画面に映像が映し出されるまでのタイムラグは、数秒ほど。  ナイトウォークという深夜アニメのOP映像がいきなり出てきたかと思うと、あっという間に終わって、CMに入ってしまった。  それでも、朝の時間帯に好きなアニメの話題をやっていてくれるというのはなかなか気分がいい。 『見れた』  と一言返信する。 『よかったです。今日はコタツでぐうたらしてないで、ネーム終わらせてくださいね』  おまえは担当編集者か、という感じのメッセージが返ってきた。  しかし実際のところ、出版社の担当編集者よりも優秀な一面を持つ楓なので、ぐうの音も出ない。 『ネームできたら確認して』 『おっけーです。今日の夜、鍋の具材買ってそっち行きますね。ちゃんとネーム終わってたら、牛肉買って行きます』 『終わらなかったら……?』 『鶏肉です』  どっちもおいしそうだ。でもやはり牛肉は捨てがたい。 『がんばる』  応援しています、という文字つきのスタンプが返ってきて、朝のやりとりはそこで途切れた。  ヒーターのスイッチを入れて、うーんと伸びをする。  伸びすぎた前髪が睫毛にも引っかかって邪魔だ。そろそろ切りにいこうかな、と思いつつ、今日はまず仕事をしなければいけないことを思い出して、顔を洗いに行った。

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