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《第2章》楓くんの自問自答 問1③

   おそるおそる、雪希は楓の陰茎に触れてきた。  親指で蜜口を軽くこすられただけで、透明な体液が新たに溢れ出してきたのが伝わったことだろう。  びっくりした様子のあとにまじまじと濡れた指を見つめた雪希は、やがて恥ずかしそうに笑った。 「楓くんは、えっちな汁まで綺麗なんだね」  セックスは下劣で汚いものだと思っていた。それが理由で、女とセックスできなかった。  この人は、楓の欲望を目の当たりにしても、いつも、綺麗で眩しいものを見るような目で見てくる。  それがいまだに理解できなくて、でも、なぜだか胸が熱くなる。  雪希が好きな爽やかな笑顔で、楓はにこりと笑った。 「舐めあいっこでもしてみます?」 「え……?」 「オレのこと、舐めてくれます?」  赤い顔で俯いた雪希の様子は、どう見ても、嫌がっているようには見えなかった。 「う……うまくできるか、わからないけど……」 「先輩が、気持ち悪い、と思わなければそれでじゅうぶんですよ」 「……楓くんは、気持ち悪いと思わないの……?」 「どんなやり方であろうと、先輩に触れさせてもらえるなら光栄です」 「……そ、そんなの、変、だよ……」 「変ですか?」  いったん腰を離すと、ソファの端にたたんで置いてあったブランケットを広げて敷布のかわりにして、楓はそこに寝っ転がる。  頭とお尻の位置を逆さにして上に乗ってくるよう雪希に促すと、雪希はしぶしぶといった様子で乗ってきた。 「変でもいいですよ。一緒に、おかしくなってください」  腰を掴んで引き寄せようとすると、雪希は抵抗するような仕草を見せた。 「やだ……ぜんぶ、みえちゃ……」  泣きそうな声だった。  体勢の関係で顔はしっかり見えないけど、実際、その目は潤んでいたと思う。  ぞくり、と皮膚の下で欲望が疼くのを感じた。 「もうすでに見えてますよ」  上半身はいまだTシャツを着たままで隠されているが、下半身は丸出しだった。  蜜をこぼしながら揺れる陰茎も、淡く色づいた尻の穴も、よく見える。  顔は実年齢より若干若く見える程度の雪希だが、ほとんど使い込んでいない局部はやたら幼く見える。  その無垢さに、ますますそそられた。 「みない、でぇ……っ」  顔を伏せるように上半身を崩したせいで、雪希は楓の股間に顔を埋めるような格好になっている。  柔らかな頬に陰茎が押しつけられて、楓は不覚にも表情を歪めた。 「オレの恥ずかしいところも丸出しだから、お互いさまじゃないですか」  男の先走りで頬が汚れるのは嫌じゃないのかな、と気になった。 「楓くんのは、恥ずかしくないよ。なんていうか……美術館で彫像が堂々と裸体で立ってるのを見るのと同じっていうか……?」 「……人のちんこをなんだと思ってるんですか」  さすがに少し呆れてしまったので、少々強引に、頬にぐいぐいと硬いものを押しつけてやる。 「これ、何度も先輩の中に入って、先輩のお尻をぐちゃぐちゃに犯したことがある欲望の塊なんですよ。観賞用の芸術品と一緒にしないでください」 「う……ごめん」  謝罪を示すように、舌先がちろりと肉棒を舐めてくる。 「そうだよね。美術館にあるやつの十倍立派だもんね」  だからそういう話じゃない、と言いたいのに、子猫がミルクを舐めるような仕草でぺろぺろされて、楓の呼吸が乱れる。 「でも……かたちが綺麗だし、なんか存在感がすごいし、立派な『武器』って感じがして、全然『恥ずかしい』って表現が似合わないよね」 「……先っぽだけでもいいので、咥えることってできますか?」  欲望を抑えきれず、楓は控えめに問いかけていた。  雪希は動きを止めて思案する様子を見せたのち、「……ん」と小さく頷いてみせた。  わざわざ頭を上げて位置を調整してから、先端に柔らかな唇が触れてくる。  吸いつく仕草に、ぞくりとした刺激が下半身を駆け抜けた。  ささやかな刺激すぎて、逆に興奮させられている。 「すごい……いっぱいあふれてきた……」  好奇心を隠せない子供みたいな声で雪希が呟く。 「すみません……」 「……楓くんは僕に舐められるの、嬉しいの?」 「はい。もちろん。……すごく、気持ちいいです」  性技という意味においてはまだレベル1ぐらいのことしかされていないが、まぎれもない事実だった。 「…………」  気をよくしたらしい雪希が、さっきよりも深く咥え込んでくる。  裏筋を丹念にぺろぺろされ、ますます疼きがひどくなった。  新たな蜜が溢れてくるたびに、雪希は蜜口に舌を這わせて舐め取ってくる。  献身的に奉仕しながら、雪希の後孔がたまにひくひくと震えていることに、楓は気づいた。  しかし、いま触ったら奉仕は中断してしまうんだろうな、と思い、なにもせずに耐える。  たっぷりと時間をかけながらも、雪希はやがて、喉の奥に当たるほど深く楓を咥えこめるようにまでなっていた。 「……ふ、ぁ……は……ぅ……ふ……」  だらだら涎をたらしながら必死に雄をしゃぶっているはずの雪希の顔が正面から見られないのがとても残念だ。  楓にされた時の経験と、エロ漫画から仕入れた知識をフル活用しながら懸命に拙い刺激を繰り返す雪希の姿に、柄にもなく、楓は前戯の途中で達しそうになっていた。 「ゆきさん……やばいです……すごいえろい……」  うわごとのように呟く楓の声は、熱っぽく掠れていた。  ゆらゆらと雪希が腰を無意識に揺らすさまは、視覚にも多大な興奮を与えてきた。  雪希の屹立は、萎えるどころかとろとろと蜜をこぼし続けている。 「舐めてもいいですか……? 限界です」  もっとも、触れたのは屹立の方ではなかった。 「あっ! ちょ……そこは、だめぇ……っ」  驚いた雪希が口を離してしまう。  楓がしゃぶりついたのは、後孔の方だった。  舌を押し込んで、縁を広げるように舐める。 「や、あぁぁぁっ……んっ!」  雄を受け入れるのに慣れはじめた肉襞は、舌を押し込まれたぐらいでは抵抗しない。  むしろ、物欲しげに絡みついてきた。 「やだ……やだ……っ、ぁっ、そんなとこ、だめ……きたないよぉ……っ」  唾液をたっぷりと送り込んで、中を広げる。 (先輩の匂いだ)  性交の時特有の、独特の匂いがした。  いい匂いなのかはわからないけど、無性に犯したいという衝動が高まっていく。  雪希はもはや楓を咥えるどころではなくなっていたが、根元を掴んだまま、頬に肉棒をこすりつけるみたいな格好になっている。  それが、ねだられているみたいで可愛かった。 「後輩にお尻舐められてイきそうになってるんですか? いけない人ですね」 「……っ、あ、ぅ……っ、ちがう、もん……」 「なにが違うんですか?」  雪希がもう限界に近いことはわかっていた。  おそらく、陰茎を掴んで軽くしごいてやるだけで、あっという間に達してしまうことだろう。 「ただの後輩じゃなくて、恋人だもん……っ」  子供じみた言い方だったが、男の喜ばせ方としては最高すぎて、楓の口元に恍惚が浮かぶ。 「……そうですね。恋人だから、なにされても気持ちいいのは当然ですね」  楓は起き上がると、かわりに雪希をソファの上に転がしてやった。  ここにくる途中にさりげなく掴んできたローションのボトルを手に取って、開かせた脚の間にたらす。 「う……」  一瞬、冷たさに雪希は眉根を寄せたが、すぐに後ろに指を挿入されて、それどころではなくなる。 「あっ、や……っだめ、はやく、ゆびじゃなくてかえでくんの、いれて……」 「まだほぐし終わってませんよ?」 「だめ、だめだってばぁ……っ、あ、あああああっ……!」  細腰が痙攣して、白濁がぴゅるぴゅると噴水のように吹き上がる。  なにがダメだったのかは、そこで完全に理解できた。 「……雪希さん」 「だから……ダメだって言ったのに」  恨みがましそうな涙目が睨みあげてくる。

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