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《第2章》楓くんの自問自答 問2⑦

 指では足りないとばかりに、肉襞がきつく締め上げてくる。 「もう挿れたい……挿れてもいいですか……?」 「はや、くぅ……っ」  セックスを覚えたての少年のように不器用に、性急に体を繋げた。 「あっ……ぁ……かえで、くん……きもちいいよぉ……」 「オレも気持ちいいです」  この人がいなかったら、セックスがこんなに気持ちいいことを知らないまま一生を終えていたかもしれないんだ、と思うとぞっとする。 「ゆきさん……すきですよ……すき……」  絶え間なく腰を激しく動かしながらも、うわごとのように愛を囁き続けた。  すると、はじめての時のように、雪希がぼろぼろ泣きだす。  愛されることに、この人はまだ、慣れていないのだ。 「も……それいじょう、いわないでぇ……っ」 「雪希さんが好きだから抱いてるんですよ……? あなた以外の人に、こんな気持ちにはならない……」 「ん……っ、あ、ぅ……っ、あああっ、や、んっ……っ」  キャパオーバーを起こしたように大きくしゃくりあげるように啼いてから、雪希は下肢をびくびく痙攣させて達した。  薄い腹が、精液まみれになる。  達したあと特有の脈動はなかなかおさまらず、まだ達していない楓を余計に刺激してくる。  涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠そうとする腕をどかして、濡れた目元にちゅっちゅと吸いついた。 「かわいい……かわいいですね」 「かわいくない」 「かわいいです」  往生際悪く認めようとしない雪希に言い聞かせるように、押し問答を繰り返す。 「今まで雪希さんにじゅうぶんな愛情を向けなかった人たちのことなんてもうどうでもいいので、そんな人たちの言葉よりも、オレの言葉を信じてください」  頬、耳元、こめかみ、おでこ、鼻先、それから唇、あらゆるところに、やわらかな口づけを贈った。 「…………」 「オレのことが信じられませんか?」 「……信じる」  ぼそりと告げる声は憮然としていたが、それはつまり『認めるしかない』という選択を雪希が示したということであった。  楓は満面の笑みを浮かべる。 「嬉しいです」 「……っ、~~~っ!」  さっきから下肢の方は動かしていないはずなのに、雪希はなぜかいきなり後孔をひくひくさせて甘イキしている。 「雪希さん?」 「ごめ……かえでくんのかおがまぶしすぎて、つい……」 「……顔だけで昇天しないでくださいよ」 「楓くんは、いまの楓くんの顔がどんなにキラキラしてて尊いかわからないんだよ……」  そりゃあまぁ、鏡で見たわけではないのでわからない。まぁ見たところで、自分ではなにも思わないのだろうけど。 「オレの顔、そんなに好きですか?」 「……えっちしてる最中の顔は、別格」 「…………」  どんなに甘ったるい顔をしているんだろう、と逆に心配になってきた。  顔を褒められるのは昔から慣れているので別になんとも思わないが、それはなんというか、恥ずかしい。 「不細工じゃないですか?」 「え、まさか。めちゃくちゃ美しい……」 「でれでれしてる感じじゃないんですか?」 「わかんないけど……でれでれしてるならかわいいね」  基本的には頼りない年上の恋人だが、たまに、自分の方がやっぱり年下なんだと痛感させられるのはこんな時だ。 「……先輩も、今日はやけにキラキラして見えますよ」 「メイクのせいじゃなくて?」 「つけ睫毛は取れかけてますけど」 「え、うそ」  くすくす笑って、もう一度雪希の頬に口づけた。 「あとで一緒に風呂入りましょうね」  動きを再開させる。  最初はゆっくり、ゆりかごのように揺さぶる。 「……せんぱい、もう、なか、とろとろですね……」  ついでに顔もとろとろだ。  約一回半分ほど達した雪希は、多少余裕ができたのか、気持ちよさそうな顔で揺さぶられている。 「ふ、あ、ぁ……っ、そこ、きもちいい……」 「……っ、オレもいっかい、イってもいいですか……?」  まだ我慢しようと思えばできるけど、陰茎が痛いくらい張り詰めている。 「いいよ……なか、だしていいから……」 「いっぱいだしちゃうかもしれませんよ……?」 「うん……かえでくんで、いっぱいにして……」 「……く、っ」  その一言で火をつけられた楓は、一気に動きを加速させる。  腰を掴んでガクガクと揺さぶって、一番奥に、滾る欲望を何度も押しつけた。 「や、ぁ……っ、ぼくも、また、いっちゃ……っ」  雪希のタイミングに合わせて、奥にたっぷりとそそぎこんだ。  自分の内側を精液で満たされていく感覚に、雪希は色っぽく眉根を寄せている。 「……ぼくがおんなのこだったら、妊娠させられちゃいそうだね……」  荒い呼吸のまま、うっすらと目をあけて雪希が呟くさまは、やけに艶めいていた。 「女の子じゃなくても、あなたは一生オレのものですよ」  男の一物を精液が受けとめている薄い腹を撫でながら囁いた。  今度はゆっくりと奥を穿つと、中で泡立てられた精液が、じゅぶりと溢れてくる。 「あ、ああ、ぁ……っ」  雪希の腹にたまった精液を手ですくって、雪希自身にこすりつけるようにしながら小刻みに中を擦る。 「あ、ん……っ、まって、それ、やばい……」 「前も後ろもぬるぬるのぐちょぐちょですね、先輩。どっちの方が気持ちいいですか?」 「うし、ろ……っ」  一回ではおさまる気配のない楓は、優しく微笑んだ。 「お利口な先輩には、先輩の好きなもの、たっぷりあげますね……」

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