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第4話 再会

 早めの時間にお客さんが入ってきた。 「いらっしゃいませ」  あの時の熊男。髪は五分刈りで無精ヒゲ。しっかりとしたつり上がった眉に、窪んだ一重の鋭い眼。男らしくてイケメンといえばイケメンだけど、にらまれると誰でも逃げ出したくなるような強面。年は30歳くらい。背が高くて鍛えられた、格闘技の選手のような体をしている。 「腹にたまるもんくれる?」 「チャーハンでいいですか?」 「それ頼むわ。それから城さんの名前でキープしてるウォッカもらえる?」 「はい…」  俺がチャーハンを作っていると熊男が俺の目を見ながら訊いてきた。 「あんた、夢ある?」 「はい?」 「なりたいもんとか」 「…ミュージシャンに」 「そうか。学校とか行ってんの?」 「いえ、経済的に…」 「そうか…ほんなら経済的に許せば行くんやな?」 「え?はい…まあ…」  そんな気はなかった。だってそんなところに行ったってミュージシャンになれるとは限らない。才能がないと無理だ。俺はこっそり作曲の練習をしたりしたけど…才能はなさそうだから。 「どうぞ」 「これは?」 「お煮しめです。この前、助けてもらったお礼です」 「ありがとう。いただきます」  それでも箸を持たずに何か言いたげにしている熊男にウォッカの瓶を渡す。 「悪いけど、水のコップもらえる?」 「どうぞ」  受け取ったコップにウォッカを水のように注ぐのを見て、俺はトングに手をかけた。 「氷を」 「いや、ええわ。瓶、戻しといて」  これじゃ胃が荒れるよな…黙々とチャーハンと煮しめを食べながらウォッカをストレートで飲む熊男を見て思った。 「お会計、1000円になります」 「え?安すぎやろ」 「お煮しめはサービスですし、ウォッカはお代いただいてますから」 「煮物のおかわりもらったのに?」 「はい。サービスですから」 「ほんなら、ありがたくいただいときます」  俺は申し訳なさそうに差し出された千円札を受け取った。 「あんた、夢叶えられそうやな」 「はい?」 「あんたならできそうや。じゃあ、ごちそうさん」  熊男は少し微笑んで店を出て行った。  あの人…音楽業界の人なんだろうか。いや、どう見てもそうは思えない。あんなこと言われたけど、今の状況でどうしろっていうんだろう。でも…借金を返したら、少しチャレンジしてみようかなという気持ちにさせられた。

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