2 / 5

第2話 通路

 洞窟への道はアオが知っている。背に揺られて洞窟の前に着くとアオは一人で帰って行く。    今日は摩利彦と月夜見、二人が乗って来た。 普通に東京に行くには在来線に何回も乗り換えて、新幹線にも乗って、また、東京駅から地下鉄か、山手線か、に乗って、面倒だ。  洞窟を歩いて行く。この通路をどんどん歩いて行くと正面にガラス張りの扉がある。  もう、賑やかな明るいあの倶楽部が見える。  二人は精一杯のオシャレをしてやって来た。 ネット環境はあるのでいろいろ研究している。  太い袴みたいなスウェットに緩いシャツ。 月はベルトで締めたジーンズにオーバーサイズのTシャツ。通販で買ったユーズドだ。ボロっぽいけど高かった。出雲の山奥でやっと手に入れた。  髪も摩利彦は金髪でフワッとカットされたツーブロック、月夜見は長髪で一つに結んでいる。どこか、稔彦の面影がある。  カチッとした黒服で稔彦が迎えてくれた。 (やべっ、スーツだったんじゃね?) 「摩利彦は神社を放り出して来たのか?」  久しぶりに会う父は厳しい目で見てくる。 「ちゃんと後継が育ってるんだ。 海幸と山幸の双子に頼んで来たよ。」  稔彦はかっこいい二人に、嬉しくなった。 「あの、綺麗な人はいないの?」 「ああ、ミトの事か。ミトは自分の家に帰ったよ。たまにロジャーと顔を見せてくれるけど。」 「ロジャー?」 「ミトの彼氏だ。すごく素敵な人。」 ミトはロジャーの元に帰った。 「お父さん、俺たちどこへ行けばいいの?」  稔彦はこの倶楽部で用意された近所のマンションに住んでいる。 「あとで連れて行くよ。飯食ったか?」  クラブの中は、まだ宵の口か、あまり混んではいない。食事のテーブルを用意された。 「何か食べたいもの、あるか?」 「うん、俺、もんじゃ焼き食べてみたい。」  「あはは、明日だな。ここにはないよ。 なんかパスタとかでいいか?」 「はい、ありがとう。」  行儀がいい子供たちに、稔彦はくすぐったい。 「酒、飲むか?」 「まだ、18才だから飲めないよ。」 「ふん、真面目か。」 「宅飲みじゃないんだからまずいよ。」 「神社では御神酒を飲んでたから、 俺たち結構イケる口だよ。」 「神様に叱られるな。」 「神様はお酒大好きだよ。特に酒飲んでどんちゃん騒ぎするのが好きなんだ。」  山では神様が降りて来て宴会が始まるそうだ。 「大黒ちゃんとかすごい酒豪だ。 俺たち鍛えられてるよ。」 「ああ、八百万(やおよろず)の神様は大らかだからな。」  宴会に神様が混ざる事はよくあるという。

ともだちにシェアしよう!