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第6話 月夜見と鮫島さん

 摩利彦はミカドを連れて一階のフロアに降りて行った。  月夜見はカッコいい男の人と楽しそうに話している。 (良かった、月一人じゃなくて。)  摩利彦は自分だけ楽しんだようで気まずい。 月夜見が話をしている相手は素敵な人だった。  お客さんなのか、スタッフなのか。 背が高くてがっしりした体格で何かスポーツ選手のようだ。でもその顔は優しそうで甘い。  吸い付くような瞳と、無造作な髪が額にかかっている。時折り、骨ばった長い指で髪をかきあげる。そして月夜見の頬を撫でる。  もう月は骨抜きにされている。 (ヤバいんじゃね?月。) 「あ、摩利彦、こちらは鮫島さん。この店の黒服だって。」 「初めまして。ミカドさんはいかがでしたか?」 「え、何?ミカドが何だって?」  鮫島は笑って 「素晴らしい身体でしょう? 虜になりましたか? 稔彦さんも夢中のようですよ。」  摩利彦は焦った。 (何でわかるんだよ!) 「父さんには内緒にしてくれ。」 「わかってます。無粋な事は、なしです。」  話を聞くと鮫島はミカドと同じ頃からここで働いているという。 「結構長いですよ。十数年?」 「まさか、ミカドって何才なんだ?」 「ふふふ、100才くらいでしょうか?」 「は?何言ってんの?」  摩利彦はからかわれている事に気がついた。 しかしミカドと同期なのは事実だろう。この人は何でも知っているようだ。 「鮫島さん、もっといろんな事を教えてください。」 「はい、喜んで。私は月夜見さんをベッドに誘おうか、と思ってるんですよ。夜は長い。」  明るくなるまでが仕事だと言った。ミカドもそんな事を言っていた。 「まだ、朝までは数時間ある。どうしますか?」 「俺、一人にされたくないな。月夜見ごめん。」 「それじゃあ、二階の広間でみんなでゲームでもしましょう。」  立ち上がって月夜見の手を取った。もう熱っぽい顔をして月夜見は鮫島を見つめている。恋に落ちた者の顔。摩利彦が邪魔してしまった。  今から15年ほど前に、ロジャーと七尾がユーツーを取り合った事があった。ロジャーとユーツーが恋に落ちて、残された七尾に御老人が引き合わせたのが鮫島だった。

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