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第13話 妖精 たける

 夜も更けてきた。摩利彦と月夜見は少しお酒を飲んだ。 「ふぉっ、ふぉっ、ここは治外法権だ。 飲んだらいい。どうだい?退屈してないか。」  ご老人の一人が声をかけてきた。そこに鮫島が案内して、女装の尊が入って来た。 「あっ、尊っ。」  声をかけようとしたら、ダンディな紳士が目の前で尊をさらって行った。  腰を抱かれてこちらを見た尊は、摩利彦と月夜見にウインクして奥のVIPルームに消えた。知り合いのような男たちが数人、後に続いた。 「誰だよ、あいつら。 尊を連れてった。ムカつくなぁ。」 「なんだよ、文句言うなよ。 あの人は摩利彦のモノじゃないだろ。」 「そうだけど、、すごく綺麗だったな、尊。」 「一緒にいたイケおじ、旦那かな?」  若造の二人にはとても勝ち目はない。明らかに貫禄負けだった。摩利彦はそれが尚更悔しい。  ステージでバンド演奏が始まった。いつもの専属ビッグバンドに今夜はピアノ演奏が入るようだ。グランドピアノの前に座ったのは、ロジャーだった。  さっき、鮫島が紹介してくれた、ミトの旦那。 「囲われものじゃないから旦那って言うのは失礼だよ。パートナーだね。」  月夜見が気を使う。 ロジャーも目を引くイケおじだ。  この倶楽部は何か容姿にも基準があるのか、 イケテル人しかいないように見える。  ここに来るとみんな普段の何倍も美人に見えるようだ。男も女も。 「ここは何か、若返りの魔法にでもかかるのか?」 「うん、俺もさっきから違和感があるよ。」  摩利彦と月夜見は特別に勘が働くようだ。 「俺たちあまり常識にとらわれない育ちだけど、 ここの空気はまた、特別だな。」  あのご老人が来た。 「じいちゃん、ここはお山とはまた違う結界があるんだね。」 「よく気が付いたのう。普通の客は気づかんのじゃが。」  やっぱり、時の流れが関係しているのか?  ステージではあのロジャーという人の演奏が始まった。ジャズピアノがプロ級だった。 「俺、ジャズとかよくわからないけど、 あの人が上手いって事は感じる。」  みんな聞き惚れているようだ。

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