26 / 48
第26話 違和感
後から摩利彦が合流した。タスクを追い抜いて
「なんだおまえ、家こっちか?」
言いながら素通りしていった。まるでタスクなんか眼中にない、と言わんばかりの摩利彦の態度だった。尾行が尾行になっていない。
追い抜かれて置いて行かれた。茫然と立ち尽くす。綺麗な人が振り向いて
「須佐兄弟のお友達じゃないの?」
「大丈夫、学校が同じだけです。」
そう言って歩いて行ってしまった。
(そうだ、俺はただ、学校が同じ人だ。
彼らの特別な存在になりたい。)
タスクはそんなことを思った。
遠くから見ていても、綺麗な人と須佐兄弟の三人は違和感があった。
何だろう?
タスクの勘があの綺麗な人は女じゃない、と言っている。
この界隈のトランスジェンダーなら叔父貴に聞けば大抵わかるだろう。
タスクは『ディアボラ』へ叔父の円城寺隼人に会いに行った。
夕方開店まではまだ時間がある。社長の円城寺はいるだろうか?
アポも取らずに直接訪ねた。黒服が
「おう、いらっしゃい。一人?
社長に用があるの?中に入って待ってて。」
エントランスには誰もいない。
ここは広くて綺麗な控室がある。下の階には託児室もある。オーナーの考えで至れり尽くせり,だった。オーナーは有名な不動産王の女性社長。
叔父貴は雇われ社長だ。
(託児室って事は子供連れで働けるって事だ。)
タスクは嬉しくなった。早速光一に話して見ようと思う。まだ、生まれてもいないのに。
「ようっ、珍しいな、おまえ一人?」
「そうだよ。叔父さんにちょっと聞きたいことがあって。今日すごく綺麗な人に会ったんだ。
犬連れてた。デカいチワワ。
その人の事を知りたい。年は俺より少し上に見えた。」
綺麗な人ってだけじゃわからない。しかし、特徴のある犬だ。
「デカいチワワなら有名だよ。犬が有名。
デカいチワワならそれは尊さんだ。
おまえの勘は合ってる。」
やっぱり違和感は正しかった。きれいでも女性とは違う。
どこが違うか、うまく説明出来ない。
「この界隈で女じゃなくて綺麗と言えば、尊さんとミカドだな。ミカドはもう年だが、尊さんは28才くらいか、と思うよ。」
連絡先はわからない、という。
ともだちにシェアしよう!

