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第29話 礼門の部屋

 尊と礼門の関係が羨ましいと思った。 「ねえ、尊は礼門に出会えてよかったね。」  確かに摩利彦も、尊がそんな伴侶に出会えたことは、しあわせなんだ、と感じた。 「ガチャッ。」  ドアを開けて礼門らしき紳士が入って来た。 色浅黒く、黒々としたベートーベンのような蓬髪の大きな人だ。シックでクラシカルなスリーピースを着た紳士だ。襟のついたベストが落ち着いて見える。 「ようこそ、いらっしゃいました。」 尊が 「皆さん、沼田礼門です。」  頬を染めて寄り添い嬉しそうだった。 (俺、尊と浮気なんか出来ないよ。)  月は,内心恐れた。礼門に貫禄負けだ。 「あの、初めまして。 この前、ご自宅にお邪魔しました。」 「ああ、小次郎を連れて来てくれた。」  摩利彦が 「先生の本、読んでます。 耽美的な文章に引き込まれました。」  月は唇を噛んだ。 (俺、読んでない。クソッ、出遅れた。)  月は専ら理系で数学が得意。摩利は昔から膨大な読書量を誇る。 「キミたちはサディズムに興味があるのかね? それとも中世の拷問とか、かい?」 「いえ、先生の本の世界観には圧倒されましたが、痛いのや怖いのは嫌です。」 「ははは、正直でいいね。 ところで月くんは背中に誰を連れているのかね。」 「えっ?」 (玉藻が憑いて来た⁈) 尊が 「あら、稲荷さんのお狐?」 ぴょん、と尻尾を見せて目の前に狐が姿を見せた。 「先生、お久しぶりです。」 「ああ、キミと会うのは百年ぶりかな。」 「ご冗談を。先生ったら。」  摩利彦と月夜見は驚いて 「尊も先生も狐が見えるんですか?」  狐は綺麗な女性の姿をしてクルリと一回り、 ポーズを取った。 「キミたちはあの稲荷の狐たちに好かれているようだね。私も長い付き合いだ。」  アイアンメイデンがドンと置かれた部屋は、 中世の拷問器具などが揃っていた。 「いや、これは単なるコレクションだ。 本当に使ったりはしない。  このまえ、陰湿なイジメをする女優に お仕置きをしたけどね。」  隣の部屋に、グラディエーターの格好の体格のいい青年たちが数人待機している。みんな立ち上がって挨拶してくれた。 「私のスタッフだよ。」 素晴らしい筋肉とルックスの男たちだ。  マッチョな男たち。セクシーオーラを振りまいている。

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