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第31話 日常
あの倶楽部から帰って来て、何だか力が抜けてしまった。
摩利彦と月夜見、二人は素敵な恋愛に憧れていた。東京に行ったら、素敵な出会いがあって、いつでも恋が出来ると思っていた。
女の子がたくさんいて、多くの出会いがあるものだ、と期待していた。
月が出会ったのは狐だった。
摩利彦はなんと男の人とセックスした。しかも父親の愛人。
ミカドは確かに綺麗な人だけど,プロスティチュートと聞いて、それ以上好きになる事はなかった。
二人とも尊には胸がときめいたけれど、もう完璧に結ばれた礼門という恋人がいた。
この二人の関係は複雑で、尊に選ばれる可能性はあったが、それは浮気相手として、だった。
日常が戻って来た。高校生活。三年生とも思えない呑気な学校だ。
「はよー!」
だるそうに入って来たのはタスクと取り巻きたちだ。
「なんかおもしろい事、ない?」
いつも退屈している。
月夜見を捕まえて
「おまえ、狐が憑いてるんだって?」
「なんだよ、失礼な奴だな。」
赤坊主の柴田が、鼻に絆創膏を貼った顔で訊いてくる。
「お稲荷さんって女なんだろ?イケてる?
付き合ってくれねえかな。」
「末代まで祟られるよ。」
月夜見が嫌そうな顔をした。
「そう言えば光一と冬美は卒業したら結婚するんだって。今、一緒に暮らす準備してるよ。」
女子たちも来てその話で盛り上がる。
「在学中に赤ちゃんを生むんだね。
なんか、カッコいい。」
光一は仕事を探している。
「そんなに早く人生決めちゃっていいのかな。」
「おまえら、何かやりたい事、無いの?」
みんなうだうだしている。
「バンドとか、かっこいいけど、俺楽器できないし。」
「ダンスとかやってみたいけど経験ないし。」
「スポーツとかは?」
「ガキの頃からクラブに所属してないとダメらしいよ。」
この高校は部活というものがほとんどない。
スポーツには縁の無い学校だった。
「なんかねえのかよ。」
これと言うものが何も無い。もちろん勉強なんかやりたくない。
「今どきの若い奴って何にも無いんだよ。」
高校ぐらい出ておけって親に言われてなんとか入れたのがこの学校だった。
光ある将来なんて見えない。
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