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第33話 タトゥー

 良太の胸には綺麗なレース模様の飾り襟のようなタトゥーが彫られている。Tシャツを着ても首から見える。首から肩を覆うように入っている綺麗な模様。  昔、中学生の頃、良太は姉のアパートに転がり込んだことがあった。その時、姉が同棲していたのが彫り師で、練習をさせて、と墨を入れられた。繊細な模様を入れていく男に、後ろの処女も奪われた。男はセックスもタトゥーも上手だった。 「あんた、何やってんのよ。まだ中学生だよ!」  姉は激怒したが良太はその彫り師に惚れてしまった。男は優しかった。良太を蹂躙しながら 「俺、本当はこっちの方が好きなんだよ。 おまえ可愛いなぁ。どうだ?気持ちいいか?」 「痛いよ。気持ち悪いよ。」  泣きじゃくる良太を優しく抱きしめてくれた。 親にだって優しくされた事がない。言う事を聞かないと言っては、タバコを押し付けて来る親だ。  彫り師は入れ墨を入れる時、 「火傷の痕を目立たなくする墨を入れるよ。」  タバコの痕は恥ずかしかった。その上を綺麗なレース模様のタトゥーが隠してくれる。汚らしい火傷は綺麗な模様に変わった。良太は彫り師に心酔した。 「あんた、ホモだったのね。 弟が欲しくてあたしに近づいたのね。 あたしはホモに抱かれてたの⁈」  痴話喧嘩が始まった。姉はすごい剣幕で男を追い出した。 「穢らわしいよ。ガキのくせに姉ちゃんの男を誑かすなんて。あの団地に帰りな!」  母に捨てられるのは二度目だった。 「刺青なんか入れて、おまえはもうカタギの人生は送れない。このバカ!」  それ以来また一人で団地住まいだ。 親はタバコの火を押し付けて、ひどい火傷のケロイドを作った。それが良太にはどんなに屈辱だったか。友達に見つかって仲間外れにされた。  火傷は良太のトラウマになった。自己評価が低い。 (俺は価値がない人間なんだ。親にもゴミのように扱われる。死ななかっただけだ。生きててもしょうがない。この先幸せなんかになれるわけ無いんだ。)  そんな良太を、たまに彫り師の男が忍んできて抱いてくれた。  良太の初恋は、母親によって穢らわしいものにされた。それでも良太のタトゥーは綺麗だと評判だった。それを見ると姉の同僚たちがタトゥーを入れたがる。風俗は裸になるから刺青禁止だった。  中学生だけに学校で問題になった。 女子の保護者が騒ぎ始めた。  今でこそ未成年には親の承諾が必要になった。 日本ではまだまだ偏見が多い。  タトゥーは一生物だから、レーザーでも元通りにはなりにくい。

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