35 / 48
第35話 波子という女
奥からもったい付けて顔を出したのは沢井と呼ばれた男。
「ああ、おまえら六本木高校だろ。
赤坊主、鼻折られたんだろ。出雲の奴に。」
「あざぁースッ。」
「誰も褒めてねえよ。」
「あのぅ、ここでシャブ買えるって聞いたんで。」
「はい、毎度っ!」
ゴツイ奴に腕を取られた。ビビった柴田に
「誰が食うんだ?
手は無かったぞ。注射痕。」
(針の痕を見たのか。ビビった。)
柴田は腕を引っ込めた。
「変な女がヤク切れてきたっていうんで。」
「へんな女?波子さんじゃねえだろな。」
「そうそう波子って言ってた。」
ザザッと部屋にいた男たちが立ち上がった。
「ふざけた野郎だ。おまえたちが匿ってんのか?
コケにしたら命はねえぞ。」
「コケになんかしてませんよ。
波子知ってんですか?
こっちも迷惑してんだよ。」
「なんだと、コラァ。大事な姐さんだよ。
ガキがガタガタ抜かしてんじゃねえぞ。」
「あのぅ、皆さんヤクザさんですか?」
「ヤクザがなんぼのもんじゃ。」
(ヤクザじゃ無いんだ?)
「麻布霞会(あざぶかすみかい)だ。
昔はこの辺り占めた暴走族よ。
聞いたことあるか?」
「いえ、無いです。」
「今は暴走しないのよ。道交法がキツいからね。」
急に可愛くなった男たちに柴田と翔は,どんな顔をして良いのかわからなかった。
強面なのか、弱腰なのか?
でも非合法のシャブを扱っている時点でヤバい人たちだろう。
「今は便利屋だ。色々取り揃えてるよ。
六本木で流行ってんのは昔からMDMAだろ。
それからこの頃入って来るのはエトミデート。
セットで今なら電子タバコが付いてるよ。
フェンタニルも予約受付中。ご所望はスピード?シャブだね。
サービスでポンプお付けしますよ。」
「あ、どうも、ご親切に。」
すごいぼったくり値段だった。
ともだちにシェアしよう!

