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第42話 寮

 ホストの寮は店の近くにあった。お客さんに知られないように、隠している。 『ディアボラ』のオーナーが不動産会社の社長なのでいいマンションが寮として使われている。  こう言う店にありがちな、裏方は汚く狭い惨めな寮とは,全く違うので驚く。  オーナーの菫(すみれ)ちゃんが 「寮とか控え室とかが惨めったらしいと、貧乏くささが出てしまうのよ。  夢を売る商売なんだから、リッチな雰囲気が滲み出て欲しいわ。」  そう言うわけで贅沢なプライベートだった。各自個室を与えられている。恋人を連れ込んでも何も言われない。おおらかな店だ。 「光一は冬美と暮らしてんの?」 「いや、まだ二人だけってわけじゃない。 10月が予定日だから冬美が実家で生みたいって、高校も卒業したいから当分実家暮らし。  俺は寮で、たまに実家に顔出してる。」  冬美がやきもち妬くからアフターは極力受けないようにしている。  良太は人気が出て来た。持ち前の人懐っこさで 女性が寄ってくる。  この前、タスクがみんなを連れて来た時に翔と海斗もいた。オシャレな翔はホストたちからファッションの質問攻めだった。 「こういうのどうかな?」 みんな、アクセサリーを付け過ぎる事をやんわりと注意した。  華やかな雰囲気のある翔は、社長の円城寺から ぜひ働かないか?と声をかけられる。 「センス抜群だ。さすが六本木育ちだね。」  ホスト全員のアクセサリーを選んで欲しい、と言われた。太客の姫たちが 「レオン、何でも好きなものを買ってあげるわ。 あなた、今度カタログ持って来てちょうだい。」  翔は思わぬ営業に喜んでいる。将来はスタイリストとかやってみたい。 「お客さんがみんなリッチだね。」  良太は何か、理不尽な気がした。 いつも円城寺が言う。 「お金は上から下に向かって流れるもの。 貧乏神は下にへばりついてる。」  この店は普通のホストクラブのような騒がしいコールとかはしない。品のある接客をしなければならない。  円城寺がやって来た。 「当店は男性のお客様、大歓迎です。 男性率が高いでしょう?皆さんもウチで働きませんか?」  一気に若返りを狙っているのか? 今夜は摩利彦と月夜見が来ていない。二人がいたら円城寺はかなり欲しがるだろう。  おとなしく飲んでいる海斗は突き刺すような視線を翔に向けている。 (なんか、翔は住む世界が違うんだな。 俺はあんなに華やかになれない。)

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