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第44話 学校

 この高校は世の中とズレている。高三なのにのんびりしすぎだ。  良太はホストクラブの寮から通学している。 学校は黙認だ。 常識では考えられない学校なのだ。  二学期になって席替えがあった。いつも決まった事に逆らう顔ぶれがこの所おとなしい。  生きる事の理不尽に気付いたのか。 今までは悪連中は固まって後ろの席に行くのだが、今回の席替えでは教師の決めたルールに従っている。担任は、なんだか気が抜けた。  なんとタスクが一番前の席になった。そのすぐ後ろは月夜見。  タスクは椅子を横にして、いつも後ろを見ている。月夜見の手元を見つめている。  真面目にノートを取っている月の顔を見る。 「前向けよ。気が散る。」 「おまえの事、見たいんだよ。」 「変態!近えんだよ。キスするぞ。」  タスクは顔を赤らめて前を向く。 月夜見の白いシャツ。ボタンダウンの襟元から目が離せない。語彙の少ないタスクは月夜見の事を思うと、可愛いしか、言葉が無い。  タスクは自分のストレートヘアを金髪に染めてサラサラになるように気を使っている。月夜見はタスクよりずっと長い黒髪を一つにキリリと結んでいる。結びをとっても癖のつかないストレートヘアは美しい。 「ねえ、髪の毛長くて手入れとか大変じゃ無えの?」 「うん、別に。父親も同じ様な髪質だから。 昔から同じ。気にならない。」 「触っていい?」 「嫌だよ。なんで触りたいの?」 「綺麗だから。」  いつも真っ白なボタンダウンのシャツの襟元が気になる。その下の肌を触りたい。  カッコいいのだ。制服だからみんな同じだけど、月の首に触れているピシッとしたシャツは眩しい。ゆるく結んだネクタイも可愛い。 (俺、どこを見てるんだろう。)  この前から月夜見の事が気になる。 タスクは派手な奴だ。女誑しで有名だ。毎日、抱く女に事欠かない。 (でもダメだ。女は付き合うと期待する。 みんなが光一みたいに責任を取ったりしない。)  珍しくタスク一人で歩いていた。学校帰り。 いつもの取り巻きはいない。 「よおっ、タスクじゃん。」  近隣の工業高校の奴らだ。 「荒居先輩が、六本木高校の円城寺タスクを、 締めろって言ってんだよ。」  ガタイのいいのが3人で取り囲んできた。 金髪ロン毛を掴まれた、と思った瞬間手を引っ張られた。 「わっ、何だよ?」  あの稲荷神社の裏に引きずり込まれた。掴んできた奴らは勢い余ってすっ転んだ。奴らが怒鳴ったそこには誰もいなかった。

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