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第45話 狐?狸?

 尻もちをついた所は稲荷の境内の中だった。そんなに広くない境内だが、お社を囲んで結界ができているようだ。  月夜見が手を取って起こしてくれた。見事に転がったのだ。 「俺が転がされるなんて、一体何があったんだ?」  ケンカなら負ける気はしない。助けてもらわなくても勝てると思った。 「月夜見、見てたのか?」 「あいつら、卑怯なモノ持ってたから。 お稲荷さんに助けてもらったんだ。 死んだらダメでしょ?」 ナイフか、包丁か? 「狐に助けてもらったって?」  後ろから、ひょっこり顔を出したのは美人な狐の玉藻だった。タスクに挨拶。 「あたし、月夜見に取り憑いてる狐の玉藻。」 「ヒェッ、取り憑いてるって?」 「やめてよ。人を狐憑きみたいに。誤解されちゃうよ。」  タスクは立ち上がって土を払いながら 「やっぱりあの噂は本当だったんだ。 この稲荷、霊験あらたかだって。 ありがとう。」 「なんかいい男ね。惚れてもいいかな?」  気が多い狐に月夜見は辟易した。玉藻はタスクがイケメンだから助けたと言う。 「アンタを襲った奴らには何か憑いてたね。」  あの霞町団地のコソ泥チンピラ荒居クマオが取り憑いていた。良太の仲間はみんな敵だ、と憑いて来た。質(たち)の悪いのは荒居の怨霊だった。  良太なら知っていたはずだが、もう、団地には誰も住んでいない。あの場所にはまだまだ怨念を持った地縛霊がいそうだ。  タスクには中々信じてもらえない。とりあえず帰る所だったタスクを送って行く。 「襲って来た奴ら、タスクの知ってる顔だったの?」 「ああ、多分工業の奴ら。 工業には友達もいるんだ。悪いやつばかりじゃない。何かおかしい。襲われるなんて。」  タスクは稲荷社に手を合わせて 「いつも、守ってくださりありがとうございます。」  殊勝な態度に弥勒様も大いに満足された。 「玉藻たち、あの者を全力で守りなさい。 狸穴(まみあな)の狸たちが騒がしいから気をつけるように。」 「まみあな?」 また、古い地名が出て来た。

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