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第47話 缶コーヒー

「細かいの持ってるよ。気にしないで。」  二人で並んでプルタブを開けた。 顔を見合わせて 「急いでるんじゃないの?」 「いや、帰らなくちゃいけないか、と思っただけ。」  海斗はさっき感じた広大な宇宙の感じを、月夜見にうまく伝えられないでいた。 「月夜見って変わった名前だね。」 「うん、月って呼んで。兄貴もそう呼ぶ。」 「同じクラスに兄貴がいるんだね。」 「うん、母親が違うんだ。」  海斗は聞いていいのか焦った。 「月って不思議な人だね。」 「どこが?」 「うん、うまく言えないけどすごいピアノ弾くし。」 「すごいと思うのは聞いてくれる海斗の方だよ。 海斗はギター弾くの?」 「このギターは翔のだ。借りてるだけ。 ギブソン、中々手に入らないから。」  持っているギターケースから取り出して爪弾いてくれた。 「天国の階段のイントロ。」 「古い曲、知ってるねぇ。」  お山では、ギターの上手い神様が弾いてくれた。神様は懐メロばかりだ。月夜見は東西の懐メロで育った。 「どこまで帰るの?」 「青山一丁目。地下鉄で帰るよ。」 (ショートカットを教えてはいけないな。)  地下鉄の駅,入り口で別れた。 海斗は重いギターケースを抱えて夢の中を歩くようだった。足元がフワフワする。 (あの景色は何だったんだろう? 懐かしいような、でもあんな宇宙の果てなんか知らないよ。懐かしくなるわけないし。)  ずっと月夜見の事を考えていた。翔の事は忘れていた。  タスクも月夜見の事を思っていた。昨日の事だ。まだ、腑に落ちないが。 (狐と仲良いんだ?狸も?変な奴。)  何者かが、タスクに取り憑いているという。 (気持ち悪いな。良太は大丈夫なのか?)  取り憑くなら良太だろう。タスクは全部良太のせいにしたかった。 (なんて言ったっけ?そうだ荒居クマオ。 実際、そんな奴いたのか?)  円城寺の子飼いの探偵に聞いてみる事にした。 円城寺の叔父貴は裏社会に顔が利く。 (裏社会っていうか、あの世の事だけどな。 探偵にわかるのか?)  それでも他に当てがない。 占い師でも良かった案件。  歩いていると駅に向かう高速の下、薄暗い所に占い師が店を出していた。嘘くさい。  簡易テーブルに薄明り。呼び止められた。 「もし、そこの学生さん。」

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