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第61話 タスクと摩利彦
放課後だ。閑散とした教室に何人か、まだ残っている。薄いカバンに何かのテキストを放り込んで帰り支度の摩利彦にタスクが声をかけた。
「今日は一人?弟は?」
「ああ、デートみたいだ。軽音の部室でピアノ弾いてる。」
「ああ、知ってる。上手いんだってね。評判になってる。珍しいな、おまえ一人なんて。」
「いつも一人だよ。面倒なのは嫌いなんだ。」
「クリームソーダ飲まない?」
「それ、おまえが、女、誘う時のセリフじゃね?」
「地元のサ店で飲めるんだよ。
少し歩くけど。広尾まで。」
「サ店って言い方、昭和だな。」
「その店のマスターの言い方だ。」
二人連れ立って歩いている。タスクは制服を改造して細身に仕上げて太いズボンとのバランスがいい。デザイナーズっぽい。
「タスク、オサレだな。」
金髪がサラサラで綺麗だ。センター分けがよく似合う。
摩利彦は緩く着崩したブレザーの袖を折って捲り上げ、細身のパンツがスマートだ。
二人とも180cm越えの長身で目立っている。
「摩利彦の髪,藁みたいでかっこいいな。」
「金髪に染めてたんだけど痛みまくりだ。」
二人とも自意識過剰で自分のカッコよさをよく知っている。
結構歩いた。小一時間。昔風の渋い喫茶店に着いた。
『カフェ シャインマスカット』
「カフェって感じじゃねえな。強いて言うなら、純喫茶かな。」
「いらっしゃい!」
奥からマスターの声がした。
「昭和のクリソ二つ。」
「クリームソーダの事?」
「クソって言わないだけマシでしょ?」
目の前に綺麗なグリーンのソーダが来た。
溢れるほどデカいアイスクリームに真っ赤なチェリーが乗っている。
タスクが指でつまんでチェリーを口に入れた。モグモグして口の中で結ばれたチェリーの茎を吐き出した。
「器用だな。」
「これ出来るのはキスが上手い証拠なんだよ。」
「出来ないとチェリー認定なのか?」
「ああ、そうだな。おまえ童貞?」
「残念ながら違うよ。
お初に価値があるのは女子だけだろ。」
ストローを刺してソーダを飲みながら
「ヴァージンが価値あるなんてやっぱ昭和だな。」
「おまえ、男もイケるってホント?」
「おまえは?」
「質問に質問で返すなよ。」
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