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第70話 摩利彦の家
タスクは摩利彦の意外な一面を見た気がした。
丁寧にもらった手紙を扱うその手に見惚れた。
何か、パワーのようなものを感じる。
(摩利彦って何か神々しいな。
神々しいって言うのは違うかな。)
いつも乱暴なエロい事ばかり言ってる摩利彦が、意外な気がした。
リビングに入る。テーブルがある。食卓に椅子が4脚。月夜見と摩利彦は二人暮らしだと聞いている。
椅子に腰掛けてお茶を淹れてくれた。その指に見惚れた。
「ほうじ茶だよ。俺、ほうじ茶が好きなんだ。」
「へぇ、意外と和風なんだね。」
この前、勢いでホテルに行ってしまった。最後までは出来なかった。摩利彦もタスクもそんなに経験があるわけでは無い。
それよりも気まずさがお互いを遠ざけていた。
今日は堂島の授業に当てられてタスクが思いを口走ってしまった。
「これ使いたい?」
もらったコンドームを目の前に見せる。
「別に。勝手にすれば。」
「女みたいだな。駆け引きすんの?」
「そんなんじゃないよ。」
二人はシラけてしまった。
摩利彦がそばに寄ってきて頬にくちづけされた。
「無理する事ないよ。
タスクは本当に好きな人としたいでしょ。
そう言うタイプだ。送って行くよ。」
マンションを出て曲がると、すぐに景色が変わった。
(また、あの感じだ。)
学校の途中の稲荷神社に出た。
「この前みたいに寂しくなるよ。
摩利、離れたくない。」
「さっきまで、嫌そうにしてたのに。
気のせいだよ。本当に好きな人と愛し合いなよ。」
冷たい目をして
「じゃあな。」
と言った。何を言っても、どうしても、引き止められない、と背中が語っていた。
(さっきまで距離が近かったのに、何でこうなったの?)
稲荷の向こうにはもう誰もいないだろう。
(きっと俺は揶揄われてるんだ。
もののけみたいだな、あいつ。)
タスクは家に帰って自分の部屋に行った。
この前、来た時の摩利彦の匂いが残っているようでベッドに飛び込んだ。
あの変な媚薬香水の残り香みたいな匂いがした。
「嫌な匂いだ。摩利彦の匂い?」
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