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第78話 倶楽部
あのご老人のいらっしゃる倶楽部には、様々な人たちの出入りがある。
デザイナーのクロード・レイはユーツーが連れて来た。ユーツーは不思議な青年だ。
魅力のある容姿からは誰もが目を離せない。
スタッフの鮫島や男娼のミカドと同じくらい古い仲間だった。誰もユーツーの正体を知らない。
年を取らない。いつまでも美しいままだ。そしてクロード・レイの心を掴んでいる。昔はあの、ロジャーが恋した事もある。
初めて来た登美と佐里、タスクと海斗は、この不思議な倶楽部に圧倒されている。
広い空間にゴージャスな雰囲気。程よく客が入っていて、ビッグバンドが静かなジャズを演奏している。芸能人や財界人、顔を見たことがある有名人がチラホラ見える。
月夜見が頼りだ。さすがに慣れた感じで頼もしい。
「何か飲むかい?お腹は空いてないの?」
そう言えばずいぶん時間が経ったようだ。みんな俄かに空腹を感じ始めた。
「何か軽いものを頼もうか。」
広いホールの中ほどの円卓に案内された。
「今、何時ごろなんだろう?」
ディアボラを出たのはもう深夜だったのにまだ夜明けが遠い。ここは時間が止まっているのか。
「それにしても登美と佐里は綺麗だな。」
「恥ずかしいから見ないで。」
赤くなっている登美が新鮮だ。学校では気づかなかった。地味な生徒。こんな綺麗な娘がいたのか。 軽食が運ばれて来た。
赤い酒のようなものとオードブル。チーズと生ハム、ハモンセラーノか?そしてこんがり焼き目のついたブルスケッタ。トマトソースが美味しそうだ。サンペレグリノが数瓶。
「あたし、これがいい。炭酸水だよね。
サンペレグリノ。」
赤い酒はワインのようでちょっと飲める自信がない。タスクと海斗は大きなワイングラスで豪快に飲んでいる。
ドルチェに、カタラーナとパンナコッタ、ティラミスの盛り合わせがサーブされた。女子はこっちの方が嬉しそうだ。
綺麗なフルーツの盛り合わせも運ばれて来た。
佐里がさくらんぼを一つ摘んだ。可愛らしくて見惚れてしまう。
「ここはイタリアンレストランなの?」
摩利彦と月夜見が席に着いて、
「前もって注文すれば、何でも、世界の料理が揃うよ。今日は急だったから。」
(高そう。)
小さな声で佐里が不安そうだった。
「今日はお金はいらないよ。」
慣れた様子の摩利彦と月夜見に、みんなホッとしている。
二人には勝手知ったる我が家のような場所だ。
「登美ちゃんと佐里ちゃん、見違えたよ。
玉藻マジックだね。」
「妖狐(ようこ)の魔力だ。綺麗だよ。」
スマートな摩利彦と月夜見に褒められて、
さっきまで不安そうだった二人が、急に自信を持った。ますます綺麗に輝く。
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