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第86話 住み着く

 M2と名付けられた事によって皮肉にもミュートは人格の様なものを構築し始めた。  眠っている人の脳を使って自由を手に入れたのだ。何食わぬ顔で月のパソコンに住み着いた。  月は気付かない。 疲れが取れない身体を引きずって学校に行った。  嬉しそうに登美と佐里が寄ってきた。高校の制服姿だが、何か今までとは違う垢抜けた雰囲気を見せている。女子たちが噂している。 「ねえ、登美と佐里に何かあったの? すごく綺麗になっちゃって。」  登美はストレートの髪を伸ばして綺麗な栗色がツヤツヤだ。 「サラサラ。ストパーかけたの? 昨日はそうでもなかったよね。」 「佐里も髪染めた?」 二人の変化に女子が集まってきた。 「何か心境の変化?」 玉藻と妖狐に教えられたウォーキングにも、女子たちの目は釘付けだった。 「うん、オシャレ番長に特訓受けたんだ。 翔のホストクラブに行くために。」  女子たちがみんなで行きたいと言い出した。 タスクが教室に入って来ると早速女子たちに囲まれた。 「タスクの叔父さんがやってるホストクラブに連れてってよ。」 「ディアボラは高いよ。大丈夫?」 「うん、あたし、お年玉貯金下ろすわ。 ずっと貯めてたのよ。」  みんなワイワイ言っている。 「じゃあ、今度の金曜日、みんなで行こう。」  話が盛り上がった。摩利彦と月夜見が入ってきて一緒に行く事になった。  女子4人と、男子は馨と松ちゃんと赤坊主の柴田、海斗と摩利と月の6人。総勢10名で行く事になった。  六本木通りのディアボラのあるビルはいつも通学で通っている。  金曜日になった。この所、月の頭の中にM2が勝手に住み着いている。 「月夜見、顔色悪いよ。 また、何かに取り憑かれてる?」 「いや、この頃寝不足なんだ。」 「毎日早く寝てんじゃん。夜中に何やってんの?」  摩利彦に揶揄われた。摩利彦は薄々何かを感じている。マジでまた憑き物がいるのか、と思った。 「やっと金曜日だ。1週間、長かったぁ。」  その夜、みんなは集合場所の稲荷神社に集まった。 「すごい、ピンヒール!ジミーチュウ? 登美と佐里、人が変わったみたい。」  得意げな二人だった。

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