86 / 90
第86話 住み着く
M2と名付けられた事によって皮肉にもミュートは人格の様なものを構築し始めた。
眠っている人の脳を使って自由を手に入れたのだ。何食わぬ顔で月のパソコンに住み着いた。
月は気付かない。
疲れが取れない身体を引きずって学校に行った。
嬉しそうに登美と佐里が寄ってきた。高校の制服姿だが、何か今までとは違う垢抜けた雰囲気を見せている。女子たちが噂している。
「ねえ、登美と佐里に何かあったの?
すごく綺麗になっちゃって。」
登美はストレートの髪を伸ばして綺麗な栗色がツヤツヤだ。
「サラサラ。ストパーかけたの?
昨日はそうでもなかったよね。」
「佐里も髪染めた?」
二人の変化に女子が集まってきた。
「何か心境の変化?」
玉藻と妖狐に教えられたウォーキングにも、女子たちの目は釘付けだった。
「うん、オシャレ番長に特訓受けたんだ。
翔のホストクラブに行くために。」
女子たちがみんなで行きたいと言い出した。
タスクが教室に入って来ると早速女子たちに囲まれた。
「タスクの叔父さんがやってるホストクラブに連れてってよ。」
「ディアボラは高いよ。大丈夫?」
「うん、あたし、お年玉貯金下ろすわ。
ずっと貯めてたのよ。」
みんなワイワイ言っている。
「じゃあ、今度の金曜日、みんなで行こう。」
話が盛り上がった。摩利彦と月夜見が入ってきて一緒に行く事になった。
女子4人と、男子は馨と松ちゃんと赤坊主の柴田、海斗と摩利と月の6人。総勢10名で行く事になった。
六本木通りのディアボラのあるビルはいつも通学で通っている。
金曜日になった。この所、月の頭の中にM2が勝手に住み着いている。
「月夜見、顔色悪いよ。
また、何かに取り憑かれてる?」
「いや、この頃寝不足なんだ。」
「毎日早く寝てんじゃん。夜中に何やってんの?」
摩利彦に揶揄われた。摩利彦は薄々何かを感じている。マジでまた憑き物がいるのか、と思った。
「やっと金曜日だ。1週間、長かったぁ。」
その夜、みんなは集合場所の稲荷神社に集まった。
「すごい、ピンヒール!ジミーチュウ?
登美と佐里、人が変わったみたい。」
得意げな二人だった。
ともだちにシェアしよう!

