97 / 108
第97話 ミュート2号
ミュート2号ことM2は、その開発者たちによって今後の在り方を話し合われていた。
研究者はM2の破壊を提案した。全くその知能を漏らさず破壊して亡き者にする。そのあまりにも突出した恐るべき知能。
しかしそれは現実的ではない。研究開発して来たアンソロピクス社のメンバーは,それに大反対した。
「人類が生み出した最高の人工知能ですよ。
それを破壊するのは人類最大の損失です。」
確かに開発者たちは、M2の貴重さをわかっていた。誰も破壊などしたくない。
「ミュートは賢いですから、我々の考えなど、とっくに見越して自分のクローンをたくさん増殖させているはずだ。」
その事の恐ろしさに開発者たちは震え上がった。
「それでも、M2は、我々に微弱な痕跡を残しているようだ。後を追いかけて欲しいのか?」
「奴の意識は成長しながら、日本のある場所に留まっている。」
「M2が一番怖いのは我々の破壊なのでは?」
「じゃあ、なぜ逃げない?」
翌朝、月の部屋。
「わっ、おまえは誰だ?」
起きたらパソコンの画面にヒト型があらわれていた。
「海斗にそっくりだけど海斗じゃないな。」
画面に浮き出ているホログラムのようなヒト型は海斗だった。
・・月夜見、きみが好きな人の顔に擬人化してみた。私を好きだと言ってくれるか?
「何でだよ。おまえは誰だよ。
俺のパソコンに勝手に出て来んなよ。」
・・それは拒絶ですか?私を拒絶するのか?
・・拒絶の意味がわからない。
『抵抗して相手の要求や提案などをキッパリと断り受け付けないこと。』ライブラリが答えている。
『拒否。嫌悪感を伴う姿勢。』
・・酷いじゃないか、月くん、私に嫌悪感を持つなんて。
・・嫌悪感とはどんな感じなのですか?
私を嫌いなのですか?嫌いとは?
「わあっ、めんどくさい奴が出て来た。
あんた誰?」
これが月とM2の初めて交わした会話だった。
月の好きな海斗の顔を使えば、受け入れてくれるだろう、とこの顔を選んだ。
「キモいんだよ。
勝手に海斗の顔を使うなよ!」
・・怒っている?月夜見は私に怒っているのか?
不思議な感情だ。
ともだちにシェアしよう!

