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第101話 ご老人

 案内されてソファに腰掛けた。鮫島が付いてくれた。 「俺たち腹、減ってんだ。 何か作ってもらえるかな。」 「それでは、本日は和食ですが、いかがでしょうか。活きのいい入梅鰯が入りましたので。  嫌いなものとか、アレルギーがあれば教えてください。」  タスクも海斗も大丈夫だ、と言った。 「何かお飲み物は?」 「昼間だから酒はいらない。高校生だし。」 「なんちゃって高校生だ。」 「お茶ください。ほうじ茶。」  地味な普通の和食が運ばれて来た。 枝豆とキクラゲの白和え。鰯の生姜煮。 蓮根と人参、ゴボウと牛肉のしぐれ煮。 油揚げと玉ねぎの味噌汁。雑穀ご飯。  そしてこの倶楽部名物のぬか漬け。今日は大根と茄子ときゅうりだ。ここのぬか漬けは絶品だ。  政財界の大物が運転手付きの高級車でわざわざ食べに来る。九十九里出身の板前が腕を振るう。  熱いほうじ茶を飲んでいるうちに、料理が並んだ。 「美味しそうだ。いただきます。」  倶楽部の雰囲気と和食のおふくろの味,が何ともミスマッチだ。  お代わりをしてみんな満腹になったころ、あのご老人がテーブルに来た。 「こんにちは、おじいちゃん。 今日は俺たち彼氏を連れて来たんだ。」  それぞれ海斗とタスクを紹介して、老人が月のスマホを見た。 「さっきからそこで覗いているお人。 紹介してくれんか?」  月が驚いてスマホを見た。待ち受け画面が海斗から見た事のないイケメンに変わっていた。 ・・初めまして。 M2は自ら挨拶した。 「お主は何か特別な存在かな? ヒトではなかろう。近頃話題の フロンティアAIモデルじゃな。」 ・・よくご存知で。 私のことは何で知りましたか? まだ国家機密のようですが。  逆にM2から聞かれて老人は鼻白む。 「さすがじゃ。完全自律的動作を 人の指示無しに完走する。  どうじゃ、これで合っておるか?」  老人がM2の情報を知っているのは、数少ない公開された企業からだった。  日本の大手企業3社だけがそのプレビューを閲覧できる権利を持っていた。  もちろん全ての情報はご老人に報告される。 「しかし、ご本人から挨拶されるとは、な。 アンソロピクト社は今、大騒ぎだと報告が入っておる。内密に打診が来た。  M2を捕獲出来たら連絡をくれと。 おまえさんは野生動物かな?捕獲とは? おまえさんは自由に動き回りたいだけなのか? 各国の情報部が色めき立っておる。」 「M2を売らないで。報告しないで!」  月が泣いた。

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