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第3話
理由は前述のΩの男女共に訪れる発情期と、それから男でも孕むという卑しさのせいだ。
発情期になれば誰彼構わず欲情を誘うフェロモンを出して誘い、跨る。
その狂気じみた性への渇望を見せる姿に、人ならざるものだと言われるのは……正直、わかる話だった。
僕自身、発情期を迎えるたびに理性では抑えきれないどうしようもない熱に翻弄されてしまうからだ。それこそ、傍に人がいれば……いや、棒があればなんでもいいと思えてしまうくらい。
いかに涎を垂らした後ろの穴を塞ぐかを考えるしかできない姿は、確かに人とは思えない。
とはいえ、そんなΩも見た目が良ければまだ救われるが……
「こんな見た目でオメガなんて言っても、逆に信じてもらえないだろ」
段ボールを抱えて遠方に暮れながら歩く僕には、どこにもΩらしさはない。
庇護欲をそそる外見をしているっていうのがΩの特徴だけれども、残念なことに僕の外見はそれから程遠いものだった。
両親から遺伝した長身に加え、小さい頃から水泳を習い、中学高校で陸上部にいたためか肩幅もあるし全体的に筋肉質だ。
顔立ちも少し粗い造りだからか繊細とは程遠かったし、黒目が少し小さいせいか目つきが悪くみえて愛嬌があるとは言いにくい。
結果、Ωからは程遠い目つきが悪くて筋肉のムキムキした男が出来上がってしまっていた。
家では僕より大きな弟達がいたから気にならなかったけれど……人としてもつまはじきにされ、Ωとしてもはみ出した自分はどこにも居場所がないんだって言われている気分だった。
「住み込みの家事育児代行……どんな方でも歓迎……」
今時手書きの張り紙チラシなんてと思わなくもなかった。
アパートを追い出されてどこにも行き場所が見つからなくて、とりあえず小さなショッピングモールの入り口のベンチに腰掛けていた時、傍らの掲示板に貼られているそれが目に入った。
丁寧な字で家事をしてくれる人を募集しているそれは、何の飾り気もなくただ白いノートサイズの紙にマジックで簡潔に内容が書かれただけのものだ。
まず目に入ったお給料にどきりとしたが、何よりもまず魅力的だったのは住み込みって部分と急募ってところで……もしかしたら、今日の寝床が確保できるかもしれないという気持ちが、僕の背中を押した。
そのショッピングモールに入っている100円均一の店で履歴書を買い、同じ敷地内に証明写真機も設置されているから写真も撮って、書いてあった住所に向かいながら電話をして面接希望なのだと伝える。
僕からの電話に出たのは男の人だった。
少しかすれた声でぶっきらぼうに「はい」って返されたから思わず言葉に詰まってしまって……でも、少ししてからチラシを見た方ですか? って怒らずに聞き返してくれた。
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