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第5話

  「立派な家なのに……」  ステンドグラスがはめられている玄関扉なんかは本の中でしか見たことがないくらい素敵なのに……汚れのせいか美しさが損なわれていて残念だ。 『────はい』  インターフォン越しの声はひび割れていて、電話の声とはまったく違って聞こえた。 「先ほどお電話した飯野です」  そう言うとマイクの向こうでガタガタと騒がしい音がして、しん……と静まり返る。  何事かと様子をうかがっていると、いきなりガタンッ! って大きな音がして、やっぱり静まり返った。 「えっなに……なに? もしかして、事故!? 事件!? だ、大丈夫ですか!?」  マイクに向かって飛びかかるようにして尋ねてみるが、返事はなくてガタガタと気配だけがしている。  もう一度だけ声をかけて様子がおかしかったら警察か救急車を呼ぶ! と決心して、「もし……」と声を出した瞬間、ステンドグラスのはめられた玄関扉が勢いよく開けられて、ボールの様なものがポーンと飛び出してきた。 「わぁ! っちゃい!」  きゃあ! とあげられた言葉は否定的な声ではなかった。  さっきまで怒鳴られていたせいか、言葉はわからなかったけれどニュアンスで歓迎してくれているんだってわかってホッとする。 「ちゅごー!」 「ぅ、うん? ちゅごー……すご? かな?」  飛び出してきたのはボールなんかじゃない。  こぼれ落ちそうなほどの大きな青みがかった瞳と、ふわふわと極上の触感を約束してくれるヘーゼルブラウンの髪、何よりもお人形という表現がぴったりの顔立ちの可愛らしい子供だった。  年は……三歳くらい?  靴も履かずに飛び出してきたのか裸足のままで僕の前に立ち、指で僕の頭を指差しながら「ちゅっご!」と繰り返している。 「ちゅご! おっき!」 「僕、大きい?」  尋ねながらさっとしゃがみ込んで視線を合わせた。  ちょっとしたことだけど、小さい子供は上から話をされるのが苦手なんだよね。  弟達にも、叱る時以外は必ず膝を折って視線を合わせて話をしていた。最近ではすっかり大きくなってしまって逆に膝を折ってくれるんだけど…… 「ルカ! 勝手に外に出ちゃダメって言ってるのにっ!」 「あっ……ちゃい」  目の前で飛び上がったルカと呼ばれた子供は後ろから聞こえてきた声に飛び上がり、会ったばかりだというのに僕の懐にさっと逃げ込んだ。  パーカーの中に頭を突っ込んで、こうすれば隠れて見つからない! とばかりの意気込みだったけれど、残念ながらうさぎ尻尾のついたお尻がはみ出たままだった。 「悪い人だったらどうするのっ⁉︎ そんなだから前だって……って、あ……もしかしてトーマが言ってた人?」 「あ……そうかどうかはわかりませんが、家政夫のお仕事のことで参りました」  

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