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第11話
「違う……違うよ…………ルカくんが謝ることじゃ、ないんだよ……」
三歳くらいなのに言葉が少し拙く感じるのも、親から全然構ってもらえていないのなら説明はつく。
こんな小さい子が大人の感情を窺ってすぐに謝るなんて……普通はしない。
怯えた表情かニコニコとした満面の笑みかしか作ることのない態度も、きっとそういうことだろう。
こんな状況とルカの様子から導き出される答えなんて、深く考えなくてもわかる!
「 ネグレクト」
ぽつりと出してしまった言葉が思いの外大きく聞こえて、僕はバネ付きの玩具のようにぴょこんと飛び跳ねてしまった。
安易に言っていい言葉じゃない、でも、それ以外の言葉も見当たらない。
「わぁ! ぴょーん」
「え? えへへ、ぴょーん」
僕が驚いて飛び上がったことが面白かったのか、ルカは嬉しそうに破顔してケタケタと笑い声を上げてくれる。
この子の面倒を見てくれる人間がいないんだとしても、この子自身はとてもまっすぐに素敵な子に育ているんだって、それだけわかった。
「っ……待ってて! 美味しいご飯作るね!」
僕はルカを抱きしめながら、宣言のように力強く言った。
こんなものを出していいのだろうか……と悩みながら、近くのコンビニで買ったハンバーグに付け合わせのポテト、それから五個入りの唐揚げとカップサラダとカットフルーツ、オムレツおにぎりがあったからそれをキッチンで見つけた大きなお皿に盛り付けていく。
「うぅ……出来合いを盛り付けただけってなんだか罪悪感……」
でも、お腹をぐーぐー鳴らしている小さな子供を連れてスーパーに材料を買いに行って、帰ってきて作って……なんてしてられない。
空腹で辛い思いしているんだから少しでも早く食べさせてあげないと。
明日からきちんと買い物行って、ちゃんとした食事を食べさせてやるんだ!
急いで盛り付けて最後に爪楊枝で旗を作ってオムライスおにぎりに刺すと、ちょっとしたお子様ランチの出来上がりだ。
インスタントのコーンスープもつけて、この惨状の中で作ったにしてはなかなかな夕飯じゃないだろうか?
「わぁ! わぁ!」
うっまぶしい! とよろめいてしまいそうになるくらい瞳を輝かせて、ルカはリビングのテーブルを見つめている。
「椅子用意するから待っててね」
リビングに並んでいるのは大人向けの椅子が二脚のみで……子供用の椅子が見当たらない。
さすがにないなんてことはないだろうと探してはみたものの、リビングのどこにも見当たらなかった。
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