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第13話

 水垢とカビだらけのお風呂場は入ったら逆に汚れてしまいそうだったから、明日絶対に掃除しようと決めた。  服を脱がせてみて、殴られた痕がなかったことだけが救いで、白くて綺麗な肌にホッと胸を撫で下ろす。  でもやっぱり……細い。  ガッチリ体型の弟達のことがあるからか、比べるとルカは半分くらいに見えてしまう。 「……栄養失調かどうかって、病院で調べられるのかな?」 「ぬーっくぬく!」  急いで洗った浴槽にお湯を少しだけ溜めて浸からせると、嬉しそうにパシャパシャと水を弾いてはしゃいでいる。  ここだけを切り取ってみるならルカは元気な普通……いや、ちょっと可愛すぎるだけの普通の子供だった。 「ぁ ぇと、いっしょ!」  水面をパンパンと叩いてから僕を指差す。それを繰り返しているのを見て、ピンときた。 「僕は一緒に入れないんだ」  僕は育児も任されてるけど家政夫だから一緒に入るのはよくないだろう。  一緒に入って泡風呂とかしてあげたら喜ぶだろうけど、そこまで踏み込んでいいのかわからないし……とりあえずは保留だ。 「んっ! はいろ」  やっぱり僕を指差し続ける姿に、僕は「あっ」と声を上げる。  そうだった! あまりにもバタバタですっかり忘れていたけれど、僕はルカに自分の名前を教えていなかった! 「僕の名前は『飯野都筑』だよ」 「まーまの?」 「うん、ママレードのままのだよ」  甘いジャムの名前を出すと、ルカはきゃあ! と可愛らしい声をあげる。  ままの ままの と舌足らずな口調で繰り返し、覚えたぞ! と目を輝かせる姿が可愛らしくてほっこりしてしまう。  出会って初日の自分でもこれだけメロメロになってしまっているのに、父であるトーマはどうして放っておけるんだろう?  泡立てたシャンプーで頭にツノを作ってあげると、それだけでニコニコと機嫌良くしている、わがまま放題でお風呂に入るたびに辺りを水浸しにした弟達から比べたら、世話がしやすい!  頭を流す時だってシャワーを怖がらないから頭からザバ〜っとかけても嫌がらないんだからすごい! 「じゃあ上がって、歯磨きしよっか」 「……はぁやぁ」  さっきまで楽しそうにしていた様子から一変、ルカは今にも泣き出しそうな表情で僕をチラチラと見上げてくる。  これは……歯磨き苦手ってことなのかな? 「僕がお膝で磨いてあげるから、ね?」 「ままののおひざ?」  陸上でがっつり鍛えたから、膝枕するとちょっと首が痛いことになっちゃうだろうけど、どうだろうか? これで釣れてくれるかな? 「じゃあ! はぁ! ごしごし!」  パシャ! って飛び上がるから僕は頭から水を被ってぐっしょりになってしまった。  白いシャツが透けてちょっと恥ずかしいけれど、相手がルカだからセーフだセーフ!  

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