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第18話
本当はオリーブ油も欲しかったけれど、コンビニは割高になっちゃうから食パンに塗るためのバターしか買ってこなかったんだよね。
スティックシュガーを発掘しておいたから、それを一本いただいて投入! ゆっくりと火を通していくとさっぱりとしたりんごの香りがとろりとした甘いものに変わってくる。
シナモンと干し葡萄も欲しかった……なんて、贅沢は言いません。
ヘラで食パンくらいの大きさになるように集めて、その上にそっと食パンを乗せた。
じわじわと火が通ってとろんとなったりんごの果汁とバターが食パンに染み込んで……砂糖が香ばしくカラメルになって絡まっていく。
「あまぁーい……」
疲れた体にはサンドイッチよりもこんな甘いものの方がよかったのかも。
ひっくり返して下半分もさっと焼くと、なんちゃってクイニーアマンが出来上がる。
ホントはデニッシュ生地だったり、砂糖やバターがもっと多かったりするんだけど……それはまた、休日にでも作ればいい。
「食べたら元気でそーう〜」
ついつい弾みながら言う僕の背後から声がかかる。
「甘いものか?」
「ひゃっ」
この人は背後から話しかけないとダメなマイルールとかあったりするんだろうか?
「あ……はい」
サイダー色の瞳は僕じゃなくて、じっとなんちゃってクイニーアマンを見ている。
その瞳はさっきまで食事をしていた人間のそれじゃなくて……
「えっと……」
本当は嫌なんだけどっとってもとっても嫌だけど……僕の夕飯なんだけど……
でも、さっきの分じゃ足りなかったのかもしれないって思うと、自分のせいだし……
「召し上がりになりますか?」
さっと僕を見た瞳は冷ややかな気まずい思いをするようなものとは全然違ってて、ルカが僕を見上げるキラキラとした遊色効果のあるオパールのようだった。
動かないって思っていた氷の入ったサイダーがカランって音を立てたような、そんな衝撃を受けるような瞳だ。
「かまわないのか?」
僕のご飯を横取りする弟達と同じ顔だ と思った。
「もちろん!」
だから僕は笑顔でどうぞって差し出せてしまう。
何か、どこかが飢えている目。
とっても欲しいのに、でも良心がチクチク顔を覗かせているから我慢しなきゃって表情。
フライ返しを使ってお皿にのせて、「テーブルに運びます」って言ったのに自分で持って行くと言い張って、皿を掴んで行ってしまった。
その背中が少し、ウキウキしているように見えなくもない。
「飲み物お持ちしますね」
ってかっこいいこと言っても、ここにあるのは水と牛乳だけだ。
しかたがないから余っていたヨーグルトをコップに入れて砂糖を少し追加して、そこに牛乳を注いでくるくるとよく混ぜる。
なんてことはない、お手軽ラッシーだよね。
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