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第20話
リンが使うように言ったから、てっきり普通に使えるんだと思っていたのが大間違いで、荷物の溢れかえるその部屋でなんとか一人が横になれるスペースを確保することができたのは寝ようとしてから随分経ってのことだ。
「今日は……ここももうちょっと広げよう」
布団じゃなくて寝袋だったことが幸いした。
起き出して、とりあえず一番に食材を買いに行く。昨日の夜に朝の分もって思って買ってあったけれど、トーマの夜食で使い切ってしまったから食パンが2枚とバター、スープの粉くらいしかない。
自分一人なら食パンとスープで十分だったけど、ルカにはきちんとしたご飯を食べて欲しかったから……
「とはいえ、今日もコンビニ食材なんだけど」
まだショッピングモールは開く時間じゃないからしょうがないよね。
「卵と牛乳、砂糖で液を作って〜」
バニラエッセンスが欲しかったけどそれはまた今度。
ずっと今度今度って言ってる気がするから、今日の買い物メモにしっかりと書き込んでおくことにする。
フレンチトーストにバナナを添えて、魚肉ソーセージは花の形に切って焼く。サラダの中に入っていたブロッコリーに、昨日も作ったコーンポタージュのドレッシングをかけて……
あとは昨日ルカが反応していたちゅるちゅる……じゃなくてパスタを端にちょこっと乗せる。
飲み物は牛乳を飲んで欲しかったけどフレンチトーストもあるから、リンゴジュースとオレンジジュースのどちらかだな。
ルカを起こしに二階へ行くと、一番奥の部屋からトーマが出てくるところだった。
起きたばかりだろうに、もうすでにスーツを着ていて隙がない。遠目から見ても完璧ってわかる横顔にはどうしても人の視線を惹きつける魔力みたいな物があって……
「……おはよう」
こちらから挨拶するのが筋だろうに、トーマが先にしてくれた!
慌てて頭を下げて僕も挨拶する。
「おはようございます! 本日は朝は晴れてますが夕方から傘が必要になるかもしれないです!」
朝、洗濯物が干せるかどうか調べた時に夕方頃、少し雨マークがついていた。
この家のどこに傘があるのかわからなかったけれど、一言添えておくのが家政夫だろう。
「そうか……今朝の食事は?」
「リビングに用意してあります」
っ……はーっ! 念の為に用意しておいてよかった! トーマが食べなかったら僕の分になるだけだったんだけどね。
トーマは無言のままに頷いてそのまま行ってしまった。
「ルカくんを起こすとか……しないのかな?」
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