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第22話
考え込んでしまった僕の目の前をリンはさっさと通り過ぎてリビングに入って行く。
「トーマ! 迎えに 」
明るい声がぶつ と途切れて、急に静かになった。
リビングではトーマが食事をしているはずだけれど、何かあったんだろうか?
「あっ」
まだリビングが片付ききってないから呆れられたのかもしれない!
他の人に替えればいいって言っていた言葉を思い出して、僕はルカを抱き上げて慌てて後を追う。
汚れた服をランドリールームに持って行って、ゴミは袋に集めてまとめて……それくらいしかできてない。でもそれだけでもずいぶんと片付いた印象になるはずなんだけど……
「すみませんっまだ片付けきれてなくて……っ」
どん と胸を押されてよろついた。
「なんでトーマがご飯食べてるのっ?」
「えっ……と、希望されましたので……作りました……」
朝食を作って怒られるとは思ってもみなくって、たじたじと後ずさる。
はっきり言われてはなかったけれど、食べたそうにしていたから用意しておいただけでこんな剣幕で迫られるとは思ってなかったから、どうしたらいいのかわからなくて目が白黒しそうだった。
「リン」
「……トーマ…………なんでつづきのご飯食べてるの? 今日はコロポックルのモーニングに行こうって言ってたのに!」
さっと振り返ったリンはトーマに向けて一気に話すけれど、口調は僕に向けていた時よりもずいぶんと柔らかい……てか、可愛く拗ねているような雰囲気だ。
「時間はあるんだからそっちにも行けばいいだろ」
「一緒に朝ごはんが食べたかったんだよ!」
リンはちょっと唇を尖らせながら立ち上がったトーマの腕に抱きついた。
テーブルの上に置いてあった朝食は綺麗になくなっていて、全部食べてくれたんだってわかって嬉しくなる。
「一緒に食べればいいだろ」
腕に絡んでくるリンに対してトーマは感情を見せなかった。見せないっていうか……興味のない感じ? かな?
絡んでくるから反応しているけれど……って様子に見える。
「やった! 約束だよ?」
「……ああ」
トーマはちょっと言葉を詰まらせたように間を取ってから低く答えて、腕を組んだまま僕達なんていないような態度で玄関で靴を履き始める。
ここにはルカもいるのにおはようも何もないままにこの二人はもう出かけようとしているなんて!
朝は、数少ない家族がきちんと顔を合わせるチャンスで、ここで子供の様子を見ないでどうするんだ!
僕は抱っこしたルカの腕に力を込めながら、腹から声を出した。
「本日のお戻りは?」
腹から出された声は低く張りがあって存在感を主張する。
それを無視できる人間なんていないから、二人は出ようとした足を止めて僕を振り返った。
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