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第23話
「夕飯は手作りソーセージのラタトゥユと軽く焼いたフランスパン、生ハムのビーンズサラダ、鶏ささみの金色スープの予定です」
つらつらと言ったメニューにリンは目を丸くして……トーマは表情が変わらな……い? あ!
「デザートはフルーツのアイスを予定しております」
「仕事次第だ」
昨夜の様子を思い出して、飛びついてくるかなって思ったけれどトーマは静かに返してくるだけだった。
「承知いたしました。では、いってらっしゃいませ」
言うと同時にルカに向かって目で訴えてみた。
言ってくれるかどうかは賭けだったけれど。
「いっ……らしゃい」
「て」がうまく言えなかったから、いらっしゃいに聞こえたけれども、それでもルカはきちんと二人に向けていってらっしゃいと言えた。
リンが目を丸くしたのを見ると、ふふん! ってちょっと得意な気持ちになってくる。
「い、いってきます」
「…………」
でも、トーマの瞳は昏い影を宿したままの瞳で無言だった。
手を振りながら、でもそれでいいんだって。一歩ずつじゃなくてもほんの少しずつ、ルカとトーマのやり取りが増えて、親子の交流が始まったらいいなって思った。
布団を叩けば叩くほど埃が出てキリがないから、ある程度のところで諦めてそのまま窓に引っ掛けて天日干しすることにした。
天井や壁に張り付いていた蜘蛛の巣と埃の塊を退治して、照明のカバーを拭いている時に電球が一つ切れていることに気がつく。コップを伏せたような形のカバーが四つ付いているその電球が一つ……いや、今にも消えそうなのもあるから二つ、ダメになっている。
「電球も売ってるかなぁ」
近くのショッピングモールは小さな店の集まりで、専門的なものになると置いてない可能性がある。
昨日決めていた通りに掃除していって、買い足しておいた方がいいなって思うものもたくさんあって、買い物は午後からすることにした。
「お買い物に行かなきゃなんだけど、お留守番できる?」
きっと、今まで前任者がいない間は食べ物だけを置かれて放置だっただろうから、できなくはないんだろう。
でも僕がそう尋ねるとルカはちょっと不安そうな顔をしてから、手をギュッと握ってそれをお腹に当てながら「できぅ」と絞り出すように言った。
握りしめられた拳がプルプルと震えていて……
「一緒に行きたい?」
「……ちゃい」
ごめんなさい?
「全然悪くないよ。ルカくんが行きたいなら行っていいんだよ! 僕と手を繋げるって約束ができるならだけどね」
そっと目の前に小指を差し出すと、不安そうな顔で僕と小指を交互に見て……こくりと人形が首を縦に振るように頷いてくれた。
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