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第25話
高校時代にしたアルバイト代やお年玉を少しずつ集めて用意したお金だっただけに、悔しさが胸の奥をチクチクと刺し続ける。
「……たーい?」
お財布を握りしめながら考え込んでしまったらしい。
僕を見上げる表情が不安そうで……ルカは僕の感情の変化にとても敏感なようだ。大人の様子を窺う癖がついているだけかなって思っていたけれど、この敏感さはルカ自身の資質なのかもしれないなって思った。
「大丈夫だよ。さ、家に帰っておやつにしようか!」
「おやつ!」
ぴょこんっ! てジャンプするから袋の中の買った物がガサガサと大きな音を立てる。
それがおかしかったのか、ルカがきゃあきゃあと可愛らしい声をあげてはしゃぐ。その姿がこれまた可愛かったから、ニコニコしていたら……ひそめられた小さな声が耳に届いた。
「 ――――ルカ 」
ん? と声の聞こえた方に振り返る。
そこにいたのは二人のなかなかいいお年のおばさまで……僕はもちろん、初対面だった。
でも確かにルカって名前を口にしていて、しかも視線はこちらを向いている。
ただそれは好意的な雰囲気ではなくて……
僕はとっさに二人の視線からルカを遮るように踏み出した。
幸い、僕の体は大きかったからそうしちゃうと小さなルカを隠すことができる。一人だけなら背中を丸めてその声が聞こえないところまでささっと移動してたんだろうけど、僕の側にはルカがいるから……
「お知り合いの方ですか? 初めまして、今度野分さまの家政夫を務めることになりました飯野と申します」
避けるんじゃなくてこっちから攻め込む!
僕が近づくと、おばさまたちよりも頭二つ分大きいせいかコソコソ話をしていた時の勢いがなくなってしまった。
お互いにチラチラと視線を交わしながら何かを押し付けあってるように肘でつつき合っている。
「あー……野分さんの新しい家政夫さんなのね」
「はい! 飯野です、よろしくお願いします! この辺りのことには詳しくなくて、お姉様たちにお得情報や便利情報を教えていただけると助かります!」
にこにこーっといい笑顔で勢いよくいくと、逃げることも悪口を続けることもできなくなったみたいで、もごもごと口を動かすだけになった。
「あそこ、大丈夫?」
「え?」
「あなたで何人目かしら……一日で代わることもあるのよ」
二人はちょっと言いにくそうだったけれど、その話を自分の胸の内に留めておくこともできないようだ。
僕を心配するふりをして、公式からの許可が出た! とばかりに野分のお家のことについて喋り始める。
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