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第38話
キウイのトップを飾るのは、庭に二輪だけ咲いていたラベンダーだ。
「よし! いいできだ」
我ながらよくできてるって思うから、携帯電話を取り出してカメラを起動しようとして……画面に出ている赤で囲まれた数字に気づく。
いや、知ってはいたんだけど、見ないようにしていたんだ。
三桁になった未読メッセージに怯みながら、携帯電話を機内モードにしてからそっと開く。
トーク画面の上五つには未読メッセージが溜まっていて……父と母、弟達それぞれと家族用に作ったトークルームは送られてきたメッセージがぎっしりだった。
「う……皆心配してるよね……」
父母の心配する顔も、泣きながら心配する上の弟の顔も、怒りながら心配する下の弟の顔も、目を閉じれば脳裏に浮かび上がってくる。
なぜなら、僕はそれくらい皆に心配かけていたから……
小さな頃からΩらしい可愛らしさが全然なくて、親をハラハラさせながら好き勝手やらせてもらってきて……それも結局、自分のせいで台無しにしちゃって連絡も返さないんだから心配にもなるのもわかる。
でも本当にこれがαなんだって体現しているような弟二人と、社会的にしっかりと役割を果たしている父母に囲まれて、僕は自分が何もできない人間なんだって、苦しくなって仕方がなくて……
水泳と陸上でちょっと育っていた僕の自信は、今ではもう枯れて根っこの部分が名残を残しているだけだった。
「たーい?」
背後から突然上がった声に驚いて振り返ると、お昼寝していたルカが目をこすりながらキョトンと僕を見上げている。
「たーい」は何か痛いことがあったのか? と言う問いかけの時に出てくる言葉だけれど……
「僕はどこも怪我してないよ?」
「んーん、たーい」
そう言うと僕に真っ直ぐに手を伸ばしてきた。
小さなルカは抱っこしても全然重くなくて、食事が足りてないのかと不安になってしまうけれど急に太らせるわけにはいかない。
「たーい。ないない」
ルカは僕の胸をさわ……って言うよりは揉むようにぽんぽんと叩いてから顔を埋めてしまう。
小さな頭が僕に寄りかかって深呼吸するから、息でくすぐられて……
「わっ……こそばいよ!」
「こちょば……?」
僕の反応が面白かったのか、ルカはまたぽふんと僕の胸に顔を埋めて、大げさにスーハーと呼吸する。
その度に温かい空気と冷たい空気が交互に服を通ってくすぐってくるから、じっとしていられなくて「きゃー! くすぐったい!」って言いながら廊下に向かって飛び跳ねるようにして走って……
ルカは激しい上下運動にケラケラと笑い声を出し、頬を赤くしてはしゃいでいる。
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