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第66話
ルカは良くこうするけれど、僕が落ち込んでいるから慰めようとしてくれているのかな?
「 っ、ルカさまは優しいですね」
「?」
僕の言葉にルカはきょとんとしていたけれど、僕は温かくなった胸が嬉しくて思わず微笑んだ。
菜の花畑には畦道があって、普通に通行人が歩いているからそこを歩くことにする。
ルカから見ると背の高い菜の花に囲まれて小人になった気分だったみたいで、「しゅご」「しゅご」と繰り返しては辺りを見回して僕の手にしがみつく。
「ルカさま。抱っこしますよ」
僕の言葉に「?」と返してきたルカだったけれど、抱き上げて辺りを見せてやると「わぁ!」と声をあげて目をきらめかせる。
陽の光を受けて不思議な色にゆらめく瞳が輝いて……
辺り一面の黄色い花の海見渡すために首をくるくると回して声をあげた。
「綺麗ですね」
「きれ」
「そうです、綺麗ですね」
「あい!」
こく と頷くと、ルカはご機嫌で「はにゃ、きれ」と繰り返す。
「――――あらあら、ルカくんはご機嫌ね」
背後から聞こえたのは聞き慣れた声だ。
買い物に行った時に出会うと立ち話をするおばさまが……一人? いつも二人組でいるから、なんだか不思議な感じがしてしまう。
「佐知子さん、こんにちは!」
僕が挨拶するとルカも真似て「こん にゃ」と声をあげる。
「はい、こんにちは。挨拶できてえらいねぇ」
ルカを褒めてくれるおばさま……佐知子さんは手に何かを持っていて……その先を辿ると小さなふわふわとしたものが左右に揺れていた。
触ると絶対に気持ちいいって保証してくれるボリュームに釣られて、つい僕の視線も左右に動く。
「わ……わ……可愛い! お散歩ですか?」
「そう! うちのハジメちゃんよ」
そう紹介されて、思わず笑いそうになった。
すごく可愛らしいハジメちゃんだなって思うと、堪えきれない苦笑が少しだけ漏れる。
「ハジメちゃん、ですね。初めましてですね」
「わんわん!」
ルカは足元にいる犬……ポメラニアンに気づいたらしく、目はキラキラしているけれど表情はどこかぎこちない。
二次元では見たことがあるだろうけれど、どうだろうか? もしかしたらルカは本物の動物に触れ合う機会がなかったのかもしれないって気づく。
「ままのがしっかり抱いていますから、大丈夫ですよ」
「ルカくんはわんわん怖い?」
僕の膝下にも満たない小ささだから僕は飛びつかれても平気だけれど、ルカはびっくりしてしまうよね。
「ん……んっ」
ルカは僕と佐知子さん、それからハジメちゃんを交互に見て……指差して何かを訴えようとする。
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