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第106話
そう言ったものがどこに売られているのか、どれくらいの値段なのか、何を基準にして選んだからいいのか、その辺りは僕にはさっぱりだった。
でも、コンビニで売っていると、何かで聞いたことがある!
「今から?」
「お任せください!」
ザバ と勢いよく立ち上がると飛沫がトーマに飛んでしまって……大慌てで頭を下げた。
「すみません! あの。湯船で温まっていてください。その間に僕が……」
「今買ってくるってことは、帰ってきたらすぐ使うってことでいいんだな?」
「へ⁉︎」
昨日の僕じゃないけれど、ぷるぷる と内股が震える。
「今日は……もう……し、しま 」
「君がこうして誘ってくれるならいくらでも応えられるけど?」
「ト、トーマさまはっっ!」
「今はトーマって呼ぶ約束だろう?」
そんな約束してないのに!
「トーマは! え、えっちっすけべです!」
そう言い返したのにトーマは余裕の顔を崩さないままだ。
「男がすけべでなくてどうする? 繁栄のためには大切なことだよ」
「だ、だからって……」
「魅力的な人間を前にして、気になってしまうのは本能だ。仕方ない」
「魅力的……じゃ、ないですよ……」
だって僕はΩらしくない筋肉質な体に、Ωらしくない身長、Ωらしくない顔立ちにだ。
見た目全体が、どこからどう見てもΩだとは思えない。
βのような、外見なのに。
「ベータだって関係はない。美しいものは美しい」
「う……うつく……⁉︎」
「俺は、君の綺麗に浮かんだ腹筋を見ると欲情するが? 君の内転筋群を見ているとそこで挟んでみたくなる」
「何をですか⁉︎」
素っ頓狂な声を上げた僕に、トーマははは と短く笑う。
「意地悪言わないでください。オレのようなパッとしない人間よりも、リン様のように華やかな方の方がいいに決まってます!」
「今、オメガの顔立ちがリンのようなのが多いのは、昨今の流行がその顔だからと言うだけで、そこだけに価値があるわけではないし、全員が全員華奢なオメガが好ましいわけではない」
「でも……限度があるでしょう?」
リンのように華やかな顔立ちに、庇護欲をそそる体つきはやはり人に愛されやすいと思う。
Ωとして、僕のようなそこらかしこが筋肉! ってのより、花のようなリンの方が皆好きなはずだ。
トーマというαに熱烈に求められて、つい舞い上がって二度目も応えてしまったけれど、本当ならよくないことだ。
……こんなよくないことを、トーマはどうして二度もしたんだろう? 僕としては、人生で大事にしようって思える記憶が増えたからよかったー! って感じだけれど、トーマはこんなゴツゴツの体を抱いても楽しくないだろうに……
「君はこんなに可愛いのに」
「 っ」
そんな言葉は、小さい時に両親からしかもらった記憶しかない。
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