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第113話
警察官は曖昧に苦笑をし、ぺこりと頭を下げてくれた。
その後、トーマの家で働いているとは言え家族でもない僕にできることと言ったらパトロールを強化してもらうくらいで……自分は無力だなって思いながら、大人しく待ってくれていたルカを抱き上げる。
「ままの? たーい? じょぶ?」
ぽんぽんと胸を叩いてさするルカになんて声をかけてあげればいいのか……
「にぃが心を痛める必要ないだろ?」
「よその家庭のことなんだから、あんまり首を突っ込み過ぎるのも良くないよ?」
「そ、そうなんだけどっ」
トーマの奥さんの話が出てきたってことはっ僕にもちょっとくらいは関係が……関係が…………
「僕、と、の 」
関係って、恋人なのかな? あっでも付き合ってとか言う言葉はなかった。
いやでもっこういうのって必ず「付き合って」って宣言がいるものなの? いらないものなの?
今まで付き合った人なんていないから、言わなくても恋人なのかそうでないのかわからない。
やることまでやっちゃってるんだから、なんかちょっと甘い関係なのかって思ってたけど、それってもしかして……思い込みだったりする?
「あれ?」
「やっと自分のものに」的なことを言われたけれど、好きって言われたかな? 僕がトーマに向かって好きって言っちゃった記憶はばっちり残ってるけど、トーマが口にした好きは「えっちな子は大好き」の時しかなかったような気がしなくもない。
「あれれ?」
好きって言った言葉に嬉しいとしか返してもらってないような?
あ、でもそれでも返事は返事か。
……嫌だったら、嬉しいとか言わないしね。
「OKじゃないなら……言わないよね?」
「にぃ、さっきから何言ってんの?」
尾張 のちょっと冷ややかな目が僕をじっと見てくるから、居心地悪く最初 の方を向くと最初 も僕をじっと見ている。
「な、何?」
二人の視線がじっと僕を眺めて、矯めつ眇めつ、なんだか髪の毛一本の変化も逃さないように見つめられて、この上なく居心地が悪い。
「んー……いっぺん、野分ってやつにアイサツしなきゃいけないかなって思って」
「あーご挨拶は大事、必要だよね。やもめなんて聞いてないし」
身内の職場に挨拶しようって和やかな雰囲気じゃないって思うのは僕だけなのかな?
とはいえ、トーマは仕事でいないし挨拶って言われても家にあげるわけにもいかないから、ごねるのをなんとか言いくるめて今日はお引き取り願って……今日はなんだか色々なことが起こってもうぐったりだった。
「“りー“と“はー“は?」
「今日はお家に帰りました。ルカさまは弟たちのこと気に入りました?」
ルカはちょっと難しそうな顔をしてからもったいぶるようにこくりと頷き、「つぎいつ?」ともじもじしながら尋ねかけてくる。
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