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第121話
「僕に、足りないことを教えてください! 改善しますから……」
「違う」
短い否定だけを吐いて、トーマは項垂れてしまう。
俯き加減で視線を逸らす様子は、図星を指されて拗ねた弟とよく似ている。
「君は……頑張りすぎだ」
「がん……?」
ええー⁉︎ って思っちゃったのは僕だけ? 仕事を一生懸命したからって、あんな態度を取られたってこと?
それはあまりにも理不尽じゃないかと、ちょっとだけムッと唇を曲げた。
「だ……ダメでしたか?」
「駄目じゃない……けど、 」
もごもごと「だめだ」と返されて、僕はもうどうしていいのか。
「都筑くんは、私とのことをどう思っているんだ?」
「トーマさ……トーマとの、ことですか?」
「さま」をつけようとした途端、トーマがムッとしたようだったから慌てて言い直す。
少し機嫌を直したトーマを見上げて、トーマと僕の関係を考えてみる。
雇用関係に、毛が生えた感じ? でも、やることやっちゃってるんだから毛と言っても剛毛だな。
普通の関係ならエッチなことはしたりしないだろうから、ただの雇用関係でくくってしまうのは乱暴だけど。でも、体だけの関係なんだからセフレ? でも友達とかでもないし、そんなことを考えてみると、トーマとのことをどう受け取っていいのか知りたいのは僕の方だ。
「僕は……どういう立場でいればいいんでしょうか。どこに自分の立場を持っていけばいいのかわからないんです」
「私と関係を持ったのだから、わかるだろう? これからも続く関係なんだから」
トーマは僕の手を取ると掌をくすぐるように刺激して、長い指を絡めてくる。
少しエロく感じてしまうその行動は、雇用関係者にしては親密だし、恋人にするにはどこか秘めやかな行動だ。二人の関係を見せつけて、僕に立場をわからせようとしている気配がするから、懸命にそれを読み解いた。
「それは……」
愛人、かな。
それがしっくりきたから胸中で頷こうとして、ショックを受けた。
僕、いつの間にか愛人になっちゃってる⁉︎
親に報告したら、今までで一番心配かける奴! それに……
「ルカさまに申し訳なく思います」
家政夫兼愛人が傍で面倒見てるなんて、教育に良くないのは明らか!
「ルカに? やはり……ルカが気になるのか?」
「はい、だって……」
だって、ルカは可愛いんだもん。
史上最高だと思っちゃうくらい可愛いから、そんな可愛い子の傍に愛人がいます なんて、よくなさすぎる。
「……君の懸念もよくわかる。でも君はベータだ」
「は? へ? は、はい! ベータですっ!」
再び唐突に話が飛んだけれど、即座に対応できるのがいい家政夫だよね?
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