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第124話

 これは……って焦るとさらに熱が上がって、とっさにトーマから逃げようと身をよじった。 「都筑 くん、きみ……っ」  ごくりと唾を飲み下す音が耳元で聞こえた途端、僕の体はあっと言う間に床に押し倒されてのしかかられてしまっていた。  普段なら振り払えるのにそれができない……いや、したくないって思ってしまう。 「どうして……君がヒートに……」 「 そ、それは……」  なんとかトーマの下から這い出そうとすると、ガツンって衝撃がきて目の前に星が散る。  後頭部にかかるトーマの熱い手に、じりじりと力が込められていく。  あ。これ、逃げられないやつだ。  頭の芯の方は冷めていて、押さえつけられてまずいって状況を認識してるのに、その周りにある部分がもう熱でぐずぐずにとろけかけていた。  さっき嗅いだトーマの匂いが恋しくて、欲しくって、腹の奥がぎゅうっと強く反応する。 「あまい……りんごの、いい匂いだ……」  耳元で漏らされた声の響きに体がびくりと跳ねて「ひゃう」って声が漏れた。  覆い被さってくるαの……トーマの重さとか熱が、望んでいたものが与えられたって充足感を満たしてくれる。  これが欲しかった、ずっと我慢してた、嬉しい。 「うれ し  」  項に唇を当てながら匂いを嗅がれていることも、大きな手が身体中を弄って服を見出そうとしていることも、僕にとってはピンチのはずなのにΩの部分が喜びを訴えている。  しかも、それに抵抗できなくて……僕は甘えたような喘ぎ声をあげて、その手に擦り寄るように体を揺すってしまう。  荒い呼吸を繰り返すトーマの手が服の中に侵入し、小さな突起を探り当ててしまった時には甘い悲鳴が漏れてしまった。 「あ……そこ、そこは……」 「っ……ココ、君の好きな場所だろ?」  掠れた声で尋ねられて、僕はなんとも返すことができない。だって、そんなところ……トーマと関係を持つまで気にもしたことがなかったから。  でも重点的に攻められて、その度にきゅうきゅうと腹の奥が熱を欲しがって収縮するから、認めないわけにはいかなかった。 「トー、マさま……はな  」  離れて?  離れないで?  僕が続きを言えないでいる間に、首筋にヒヤリとしたものが触れる。  荒い鼻息と滴る涎、皮膚に当たる硬いものが何なのかは、わざわざ確認しなくてもよかった。  αとΩ。  発情事故に巻き込まれた結果なんて、幼い頃から嫌と言うほど目にしてきた。 「あ……あ、ぁ……」  Ωらしくない自分なんて番にしたいと思うαはいない。いたとしても鍛えたこの体でで撃退できる! なんて自負していたけれど、いざトーマに噛まれるかもしれない瞬間に感じたのは……

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