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第131話
弟が目立つってことをすっかり忘れていたよ。
「にぃ! お待たせ!」
ニコニコと元気よく言われたら、覚悟を決めるしかない。
「りぃくん……きてくれて嬉しいけど、もう少し目立たないようにできなかった? サングラスとかいかついよ」
「? 十分目立たないだろ?」
サングラスを外して綺麗な真っ黒な瞳を覗かせると、自分の弟とは思えないくらいキラキラした顔面が現れるから、やっぱりサングラスはしててってお願いしないといけなくなった。
「りー!」
「よぉ、ちび。全然大きくなってねぇな」
一日で伸びるはずもないのに、揶揄うように言いつつも尾張 はルカと視線を合わせて満面の笑みだ。
見た目はいかつくて怖がられやすいけど、尾張 は小さな子供が好きだってお兄ちゃんは知ってるからね!
「ってか、車呼べばいいのに。わざわざ電車なんて使わなくとも……」
尾張 は僕の荷物を全部引き受けながら呆れたように言う。
もちろん、それも考えた。小さな子どもを連れて移動が大変なのはルカと生活していて十分理解していたけれど、ルカにいつも画面でしか見ない電車に乗せてあげたかった。
一回電車に乗るくらいで……って思うけど、その小さな積み重ねが記憶に残るし経験になるから……
「電車に乗るのいや?」
「嫌だったらきてねぇよ」
「りぃくんは電車大好きだったもんね」
「……いつの話だよ」
ちょっと拗ねたふりをしていても、ちゃんと手伝ってくれるのが尾張 だ。
ルカはホームに入ってきた電車に驚き、乗り込む時に怯え、電車の中では大興奮した。
時間が時間だったから電車の中は空いていて、大きな荷物とバギーを抱えていても人に迷惑をかけることはなさそうだし、大興奮していると言っても潜めた声で「ちゅご」「ちゅご」って繰り返すぐらいだから問題はなさそうだ。
「なんかこいつ……ルカ、おとなしいな」
「うん? うん……」
それはきっと、大騒ぎすると怒られてたんじゃないかなって……
「りぃくんに比べたら、どの子だっておとなしいと思うよ」
「んだと?」
すっかり見下ろされるのに慣れたけれど、拗ねた顔は変わらない。
「ちょっとずつ、ルカさまがやんちゃになってくれたらいいなって思うけどね」
尾張 にはルカがどんな家庭環境にいたかは話していなかった。
でもルカの様子で何か感じ取ったのかもしれない、「そうなったら水泳教えてやるよ」ってぶっきらぼうに答えてくれた。
研究所寄りの駅では最初 が待っていてくれた。
ルカとハイタッチしてるのはいいけれど……こちらはラフめの黒いジャケットスーツにサングラスをしているせいか、ヤカラのように見えなくもなくて……
「サングラス……」
「はずす?」
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