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第132話
明るい茶色の瞳は尾張 とは正反対だけど魅力で言うなら同等だ。
尾張 の時と同様、外した方が目立ってしまうから首を振って返した。
「今日はいつもの検診と薬もらいにきたんだろ?」
「にしては大荷物だな」
「今日は、先にお隣に用事があるんだ。ト……旦那さまが泊まりになったみたいで着替えと食事が必要なんだって」
「研究所? …………あぁ」
最初 は心当たりがあったのか、ちょっと不機嫌そうな顔をする。
「なんでにぃが使いっ走りみたいなことしてるわけ? 助手くらいいないの?」
そう言われてリンの顔が思い浮かんだが……精神衛生的に、きてもらうよりも僕がここまできた方がいい。
「じゃあ俺が受付してくるから、その間に行っておいでよ!」
最初 はそう言うとサッと病院の方に走っていって……その後ろ姿を見て、綺麗なフォームで走るようになったなって嬉しくなる。
僕が水泳や陸上をやめてから弟たちが始めたから、練習に軽く付き合うことはあっても一緒に泳いだり走ったりしたことがない。
のびのびと走っていく後ろ姿を見て、一緒に走れたら楽しかっただろうなって……
「にぃ」
尾張 も僕と同じように最初 を見ている。
「父さんたちも、俺たちも、諦めてないから」
「うん?」
「にぃが、もう一度、自由になるのを」
僕を見下ろし、尾張 はちょっとサングラスをずらしながらニヤリと笑う。
最初 の背中を見ながら、僕が何を考えていたか気づいたらしい。
……そうか、だから、イーノフーズが全然関係のない研究所のスポンサーになったのか。
この研究が進めば、運動しても倒れなくなる抑制剤が作れるようになるかもしれないから…………
「 っ」
「お、俺が言ったって、父さんには内緒な? ってか、あれじゃないか? 最初 のやつ、診察券とか何も受け取らなかったけど……」
「あ、そうだ! これ、渡してきてくれる?」
僕の保険証と診察券を手渡し、代わりにお泊り道具一式と着替えと食事の入った鞄を受け取る。
ずっしりと重いそれは、尾張 が今日来てくれてよかったって思えた。
「じゃあお願いするね。ルカさま、お父さまに会いに行きましょうね」
「あーい」
機嫌よく返事をするルカを乗せたバギーを押して、二人とは反対方向に歩いていく。
研究所の方に来たことはなかったけれど、もう何年も通っている場所だからかどこが研究所なのかどうかは大体の目星がついていた。
高い塀に沿って研究渠の建物がある方へと歩き出す。
「高い塀ですねー」
「ん!」
家の周りは一軒家が多く、遠くの方に高いマンションが建っているのが見えるくらいで……あとは電車の高架が大きい建物なくらいだ。
だから背が高く、いかつい壁がずっと続く様子にルカは興奮と同時に不安を感じているようだった。
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