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第134話
「また倒れちゃったか」
ぼんやりと点滴を見上げながら思い、なんとか試行錯誤して抑制剤と付き合いつつ運動ができないかって……
「って違う! そうじゃないよ!」
飛び起きたタイミングと医者が入ってくるタイミングはほぼ一緒だった。
ベッドの上でバタバタしている僕を見て、主治医の先生は「はは」って笑いながら近づいてくる。
「元気そうだねぇ」
「瀬能先生、お久しぶりです!」
「久しぶりだね」
「それよりっ僕……えぇっと、野分ルカくんはどこに!」
「その前に診せてもらえる?」
そう言うと先生は僕を落ち着かせて目を確認したり脈を診たりして体を一通り確認した。
「あのっ……あのっ、本当に、せめて無事かどうかだけ……」
「無事無事、その代わりに君がボロボロだけどね」
「いたっ」
先生は僕の腕や頬、肩なんかもチェックして「派手になったね」なんて冗談を言う。
長い付き合いだから、こうやって呑気にしてるってことは問題がないってことだってわかる。
「もう終わりました⁉︎ ルカくんは? 起きたら点滴もいらないですよね?」
「ちょ、ちょっと、落ち着きなさい」
今にもベッドから飛び降りてルカを探しに行きそうな勢いに、先生は溜め息を吐きながら廊下に顔を出して人を呼ぶ。
先生と入れ替わりに駆け込んできたのはルカで……パッと見た分には怪我がないようだけれど……
「ままの!」
「ルカさま! おケガありませんか? 痛いところは?」
飛びつくようにベッドににじり登ろうとするルカを、後ろからきた尾張 が抱き上げて静止する。
「りー! やっやー! りーきらい!」
「はいはい、嫌いでいいからにぃに飛びつくな。ケガしてんだぞ!」
キツく言われて、ルカははっと僕の姿を見てみるみる目に涙を溢れさせ、くしゃりと顔を歪めて「ぶ? じょぶ?」と繰り返す。
「はい、もう大丈夫ですよ。お膝の上に来ますか?」
「甘やかすなよ!」
尾張 は不機嫌そうに言うけれど、ルカの靴を脱がしてからそっとベッドの端に下ろしてくれる。
「暴れんなよ?」
尾張 の注意に、こくこくと素直に頷いてから小さな手を伸ばして……あの時、僕に助けを求めた掌がゆっくりと胸を撫でて「たーい?」と問いかけてくるから、ゆるく首を振り返した。
「ルカさまが撫でてくれたので、もう痛くないですよ」
「ぶ?」
「はい、もう大丈夫です」
お互いによしよしってしていると、もう一度ドアが開いて最初 が顔を覗かせる。
「何それ、俺もよしよししてよ」
何言ってんの って言おうとして、最初 の“天使ちゃん”の顔に傷がついていることに気づく。
最初 は僕がそれに気づくと、小さな絆創膏を大袈裟に押さえて泣くふりをして駆け寄ってきた。
「にぃ! すごく痛くて、ショックで倒れちゃいそうなんだけど」
「ど……どうしたの⁉︎ なんでケガなんか……」
最初 が説明しようとする前に尾張文字 が割り込んで「犯人取り押さえる時に爪が引っかかったんだ」って、簡潔に説明してくれた。
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