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第137話

「都筑の父です」  お父さんが重ねて言ってくれたおかげでやっと飲み込めたのか、トーマはパチパチと目を瞬いて僕と父を交互に見やり…… 「  ……息子さんと、お、お付き、き、合い、させて、いただ、だいております、野分です」  電波が悪いのかな? って心配になるくらいカクカクとした動きでトーマが自己紹介する。   「…………」 「…………」  父もトーマも続きの言葉が出ないまま、僕の方を見てすがるような顔をする。  でもそんな顔されても僕だってこんな状況初めてだし、なんなら恋人はトーマが初めてなんだから恋人を親と合わせ後に何をしていいのかなんてわからない。  こういう場合は経験者の二人にリードして欲しいんだけど…… 「あ、お茶でも淹れましょうか? 僕の荷物の中にクッキーが入ってるんで、それを持ってきて……」  場を和ませるにはそれが一番って思って提案したんだけど、どうしてだか父もトーマも異界の生き物を見るような目で僕を見てくる。  なんとなく……僕が悪いんだろうなってことはわかったけど、場を和ませようと思っただけでそんな扱いを受けるのは解せない。 「ごほんっ……都筑も一緒に話をしよう。座りなさい」  咳払いを一つして応接セットを示されたから当然のようにトーマの隣に座ろうとしたら……父に引っ張られてトーマの向かいに腰を下ろす。  明らかに動揺したまま父と僕を交互に見ているトーマに、「今回のことだが 」父が話を切り出すから背筋が伸びる。  父が話してくれた事件のあらましは簡単な話だった。 「じゃあ……あの電話は嘘だったの?」  トーマが泊まり込むからって研究所に呼び出されたのはリンが……って言うより、リンの新しい義兄がルカを誘拐するために仕組んだ嘘だったって話だ。  僕がルカを連れ出したタイミングで攫う予定だったらしいんだど、家から病院まで弟たちがついてきていたから手を出せなかったそう。  二人の最終的な計画は、ルカの誘拐の責任を取らせて僕を辞めさせ、一人になったトーマをリンが以前のように支えて、新しい義兄はルカを手に入れる、一粒で三度美味しい作戦ってことだったらしい。    雑な作戦って感想は飲み込んで、僕は素朴な疑問を口にする。 「どうしてルカさまを? やっぱりお母さまが?」  以前にもルカを誘拐しようとしていたことを思い出して、そろりとトーマを盗み見た。   「……いや、アルファ性の子どもに支給される手当が目当てだったらしい」  ぎゅっと膝の上の拳に力が入ったのが見えて、居た堪れずに僕はトーマの隣へと移って手を握る。    

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