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第4話 「処女は大切にした方が良い」何かが乗り移った様な台詞になった。
「ちょっと狭いんだけどな。こっちの小屋で寝られるから、使ってくれ」
「すいません。ありがとうございます」
食事の後、善蔵は離れの小屋を貸してくれた。バルドには小さすぎるだろう小屋には、小さなベッドが一つ置いてあった。
外は危険と言われたら、この小さな場所で眠るしかない。
蓮はベッドに腰をかける。
柔らかく沈むベッドは、思ったほど寝心地は悪くなさそうだ。
「バルドが乗ったら壊れるかもな」
「そうだな。俺は床で構わない」
板張りになっているスペースに小さく座ったバルドが、なんだか可愛く見えた。
体にこもっている熱を思い出して、蓮はバルドの隣に座り込む。
バルドに体をくっつけようとしたら、扉が叩かれた。
「あの、蓮さん」
翠の声だ。
蓮は迷ったが、扉を開けた。
蓮の姿を見て、翠は目を逸らしながらも嬉しそうに微笑んだ。
「あ、ごめんなさい。毛布がもう少しあった方が良いかなって思って、手伝ってもらえませんか?」
「それなら俺が行きますよ」
「良いよ。少し休んでろ」
蓮はバルドを制して、扉を出ていった。
着いてくるなよと、念を押すようにバルドに視線を向ける。
立ち上がりかけたバルドが腰を下ろしたのを見て、蓮は翠の背に手を添えて歩き出した。
(ムラムラする……)
ジャラドのせいだとは分かっている。
(だから早く……)
「あの、蓮さん」
翠は、母屋の裏でモジモジとし始める。月明かりに照らされた顔は可愛らしい。
きっと、こんな荒野ではなく街に住んでいれば、翠はモテただろう。
蓮は、モジモジと動く翠の指先を見ながら、続きを待った。
さっき、バルドと二人になった安心感からか、ジャラドの効果を強く感じる。
「私、蓮さんに一目惚れしました。あの、私の処女を捧げたいです!」
勢いよく、翠が蓮に抱きついた。
久しぶりに女の体に抱きしめられ、甘く香る女の匂いに、蓮の下半身は反応する。
しかし、翠の肩を掴んで、引き剥がす。
「処女は、大事にした方がいいですよ」
いつだかのバルドの台詞を引用した。バルドの奇行を思い出していないと、柔らかい女の肌に流されそうになるからだ。
「でも……蓮さん……辛いんじゃないんですか?」
翠は恥ずかしそうにしながらも興味深そうに蓮の下半身を見る。
それはもう、しっかりと形を持っていた。
男の性とジャラドのせいだ。
翠はそっと蓮の下半身に触れてくる。
「んっ……」
たったそれだけの刺激で砕けそうになる腰を蓮は必死に力を入れて耐えた。
翠は、蓮の様子を見て、心配そうな表情を向ける。
「そういう事は、安易にしたらダメです。後悔しますよ」
なるべく優しい声で言うが、内心は鼻息荒く身を捩っている。
(今すぐバルドにメチャクチャにされたい)
「辛いなら、私がお相手します」
「いえ、俺の相手は小屋にいますから」
「え?」
蓮は思考回路が低下していたのだろう、つい口を滑らせてしまった。
蓮とバルドがいた商店街の街では気にならないが、地方によっては同性の恋愛を好ましく思わない所もある。
知らない土地ではあまり公に言わない方が良いだろうと思っていたのだ。
翠は、言葉の意味を理解して、どんどんと顔が赤くなっていった。
「ご、ごめんなさい。そうだったんですね!」
この焦りは、きっと気付けずに舞い上がっていた自分が恥ずかしいのだろう。
「小屋に戻っても良いですか?」
「は、はい!もちろんです!これ、毛布持っていってください!」
翠はふかふかの毛布を蓮に押し付け、家の中へと入っていった。
ガチャンと厳重に鍵が閉まる音が聞こえ、蓮は苦笑する。
ふかふかの毛布に顔を埋めながら、小屋に戻ると、窓からの月明かりに照らされているバルドの横顔がやけに格好良く見え、飛びついた。
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