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【2】八ツ辻はオバケの交歓-01

 來摩宵央は人が怖い。  とりわけ、初対面の大人はおしなべて苦手である。 「んで、この見るからに怪しいセミロングオカッパワンレン美人がこの店のマスターの(みずのと)さんね。常連は大体みとさんって呼んでる。あ、みとさんに性別の話題厳禁な? 男なの? 女なの? ってどんだけ訊いても教えてくんないし無駄だし若干機嫌悪くなっから」 「あらまあ、ひとを狭量の権化みたいに言いますね。わたしの雌雄なんぞ、別にどっちでもよろしいでしょうにー」 「覚えときなぁ、これが機嫌悪いときの顔だ。ぜんっぜん顔色変わってないように見えるか? 見えるよな? でも眉毛がちょっとぴくっと動くんだなこれが……別にみとさんの機嫌が悪かろうがよかろうが地球の自転速度は変わんないけど、酒の濃さが明確に変わるから気をつけろ」 「來摩さん、千里(チリ)さんの世迷言なんて気にしないでよろしいですよ」  男性にしては軽くて高い、女性にしては掠れて低い声が來摩の耳を擽り、思わず姿勢を正してしまう。  來摩宵央は人が苦手だ。初対面の大人が苦手だ。感情を読むことが苦手だし、上手く会話ができないととても滅入ってしまう。  それでもこの日の新しい出会いは、宵央の人生にとって非常に重要なものだった。  宵央は人が苦手だが、千同浬とその周辺の人間に関してはあまり苦手だと思わなかった。それはおそらく、彼らがあまりにも変で、普通ではなかったからに違いない。

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