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第2話
外からセミの鳴き声が聞こえていて、まだ昼間で明るい。
けど季節はもう残暑で、これから秋がやってくるはずなのに、まだジメジメして汗がにじんでくる。
正義と俺は出会って半年程度で、まだ家族には誰にも話していなかったんだ。
もし、毎日コンビニに居座って、時間をつぶしていることが親に知れたら怒られると思ったからだ。
だから正義が俺と仲良くしてくれていることも秘密にしていた。
誰にも言っていなかったんだ、そう、誰にも…。
***
お風呂場で俺と正義は向かい合って腰かけている。
「ねえ竜二くん」
正義が困った表情で俺を見てきて、まつ毛の長い綺麗な眼に、なぜか思わずドキッとした。
「良かったら助けてもらえないかな」
「何をすればいいんだ?正義、俺、まだわからないんだ。こういうこと…」
「大丈夫、僕が教えてあげるよ」
正義が俺の手を自身の性器へ誘導させ、触らせてきた。
初めて触る他人の性器は俺の手より少し大きくて、熱くて脈打っているのがわかった。
成人男性のは父親以外のは見たことがないけど、正義のは父ちゃんより少し小さいなぁと思った。
「まっ、正義…?」
「はぁ…こうしてね、…こすってもらえないかな。大丈夫、怖くないよ…」
色っぽい吐息交じりに正義は気持ち良いのか、俺の手の上から自身の手を重ね、性器を上下にしごいている。
俺も言われた通りに正義のをしごき始めると、先走りからヌルヌルするものがでてきた。
自分がとても人には話せない生々しい行為をしているのではないかと思いつつも、好奇心が勝ってしまい、俺は正義の快感に耐え
る表情と、勃起した性器を見つつ、自身の胸のあたりが熱くなる。
「いいよ…竜二くん…っあ……」
「これで良いんだな?正義」
「うん……はぁっ……」
風呂場の外からはセミの鳴き声が聞こえ、人の話し声が聞こえてきて、けどこの俺がいる場所だけ別空間のようだ。
生々しい匂いが鼻腔をくすぐり、俺の手にも正義の先走りのヌルヌルがついて、上下にこするたびにヌッチャヌッチャと粘着質な
音をたてている。
しばらくしていると正義が俺の頬を両手で包み、口付けをしてきた。
俺はされるがままに受け入れ、正義の舌が俺の口の中に入ってきて無意識に舌を絡めてしまう。
「っあっ…あっ…」
「はぁっ……あっ…」
室温は上昇し、正義の声か、俺の声か、どちらともわからない声が反響し、ひたすら粘着質な音と水音だけが響いている。
しばらくすると、こすっていた正義の性器が震え、
ドピュッ
と白いヌルヌルした体液が飛び出てきて俺の手を汚した。
呆気にとられ、自分が正義との口付けに夢中になっていたのも忘れ、正義は俺のことを正面から抱きしめ、耳を甘噛みする。
慣れない感覚に正義の歯並びの良い歯が俺の耳を軽く甘く噛むと体が痒い感覚に襲われる。
そんな俺を見て、正義は眼を細め、とても楽しそうな声で、嬉しそうな声で、
「もっと楽しい事、……教えてあげようか?」
と、囁いてきた。
とてつもなく、ゾクッとした色っぽいかすれ声で、俺は背中から首筋までゾクゾクと毛が逆立ち、顔に熱が集まるも、すぐさま頷
いてしまう。
今、自分がやっていることについて駄目なことなのか、考える余地もなく、ただ気持ち良いことだけを求めて俺は流されていく。
正義がシャワーでもう一度お互いの体をお湯で流し、綺麗にすると、一緒に湯船に入った。
今度は向かい合わせではなく、正義の前に俺が座るようにした。
すると、正義は俺の乳首を指先で軽くさすってきた。
「俺の乳首触ってどうするの?」
「ここがすごく良い場所なんだよ」
「へぇ……」
正義は、俺の乳輪回りを指の腹で撫でていると、乳首の部分を軽く優しくつねり、俺が「っあlと驚き声をあげると楽しそうにし
ていた。
乳首が完全に立ち上がると、指先でつまんで、そんなに触って飽きないのかなって思うくらい俺の乳首を弄っていた。
しばらくすると、また正義の股間が固くなってきて、熱を持ち始めていたので、風呂から出て先ほどのように抜いてあげた。
「はぁっ…竜二くんっ…だんだん……んんっ…」
「何?正義」
「んっ…上手に、なってきた…ねぇ……」
正義が満足そうに顔を赤く上気させ、俺の坊主頭を愛しそうに撫でると、また俺に舌を絡める口付けをしてきた。
俺もさっきの気持ち良い感覚が忘れられず、無抵抗で正義に身を委ねた。
この時、まだ精通がきてなかったけど、俺の股間もむずむずしていて、正義が手で軽く愛撫してくれた。
「ぁっ…小さくて、かわいいね……っ……どこも、可愛いよっ…」
「んぁ…まさよしぃ……ふっ……」
ピチャピチャと音を立てて舌を絡め、口の端から唾液がこぼれてくる。
俺が正義の性器をこすり、ヌチャヌチャと音が反響し、夢中になって行為に及ぶ。
俺と正義は今日が初めてとは思えない程、お互いを求めあい、むさぼり合うようにただ時間だけが過ぎていく。
風呂から二人で出てくると、正義はさっさと服を来て、洗濯が終わった俺の服を取り出すと乾燥機に入れていた。
さっきまでの時間がまるで夢か幻想だったのではないかと思うくらい、俺たちの雰囲気は風呂に入る前と変わらない状態になって
いた。
けど執拗に弄られた乳首だけは先ほどの出来事が事実だったのだと告げるかの如く、ヒリヒリと伝えていた。
そんな俺の気も知らず、マイペースに正義はいつもの優しい笑顔で声をかけてくる。
「竜二くん。スイカ、あるから食べようか」
「…うん!」
正義の狭いけどボロイアパートで、ちゃぶ台に冷蔵庫で冷えたスーパーで買ったと思われるカットされたスイカを2人で食べた。
クーラーはないから、窓を網戸にして扇風機で涼みつつ、正義の準備した麦茶を一気飲みすると喉が冷えてスッキリした。
気が付くと夕方で、俺は門限の時間まで正義と一緒に過ごした。
***
残暑は長く続いた気がした。いつまでたっても暑くてじんわりと汗が背中を伝う。
あれから、何度も俺は正義のアパートを訪れては、汗を流そうと一緒に風呂へ入り、例の行為に没頭した。
乳首を刺激され、優しく撫でられていくうちに何とも言えない感覚を持ち始めた。
そんな俺の乳首を正義は舌で舐めて甘噛みし、軽く吸っては同じことを繰り返す。
普段のコンビニで働いている正義からは想像もできない程、その行為をしている正義は綺麗な顔をしていて、俺は男のはずなのに
ドキドキした。
長いまつ毛が揺れて、ふと俺の目を捉えると欲に染まった色で優しく「竜二くん」と呼んでくる。
腰のあたりがゾクゾクとして、乳首もジンジンしてむず痒くて、言葉に表現できない。
相変わらず、両親にも姉にも内緒で、正義との交流は続けていた。
誰にも言わず、言う気も起きず、俺は自分の持っている秘密を楽しみ始めていた。
この数か月、俺はずっと学校帰りも、休日も、空いてるときは正義と一緒に過ごした。
***
今日もジリジリと暑い日差しが皮膚を照りつける。
けれど秋の始まり告げるのかセミの鳴き声は日に日に弱まり静かになっていっている。
学校の休み時間に校庭で子供たちが遊んでいる。
ジャングルジムの近くで、少年が2人遊んでいる。
「おーい!竜二!」
「なんだ?照」
清潔そうなシャツに蝶ネクタイを付けた、品行方正な美少年が名前を呼ぶ。
さらりとした金髪は爽やかに風に揺れ、大きい綺麗な碧眼を持つ少年は、竜二くんの親友、七瀬輝良くん。
竜二くんはガキ大将っぽい雰囲気を持つ子だが、交流はそれほどでもなく、広く浅い。
あまり社交的ではなく、一人で好きなことをするのを好むタイプなのである。
その中で唯一の親友がこの子、照良くんである。
結構な裕福の家に生まれたがために、親がとても厳しく、毎日が塾通い。
当の本人はとっても不満で、本当ならば竜二くんと放課後遊び尽くしたいのだが、よっぽど怖い親なのだろう。
我慢して、真面目に勉強をしている良い子である。
竜二くんが毎日放課後に一人で帰っているのはこういう事情のためだったのである。
「お前、最近なんか変わったよな!?俺の気のせいかな?」
照良くんが楽しそうにジャングルジムを上りながら竜二くんに話をふると竜二くんは冷や汗が何故だか出た。
「何も変わってないよ!そんなことよりさ!照!このあとのマラソン頑張ろうぜ!!!」
「んん?そうか?そうだな。気のせいか!!おう!!頑張ろうな!!」
何も知らない照良くんは無邪気な笑顔で竜二くんに返事を返し、また遊びに没頭した。
竜二くんは”親友に嘘をついてしまった”という罪悪感に少し胸が痛むも、言う勇気も必要性もないと思うようにした。
***
ここは小学校の体育の授業である。
マラソン大会に向けて、持久走の授業が積極的に入るようになってきた。
「花梅!体育の授業だぞ!真面目にやれよ!」
「はーい!」
少しサボリ癖があったがために、熱血漢の体育教師に目をつけられてしまい喝を飛ばされる。
運動は結構好きだから、この際この先生での俺の評価を上げてやる!
竜二くんが張りきって走り出そうと思った瞬間、ゾクッとして足を止めた。
「どうした!?竜二!!!」
「大丈夫か!花梅!!」
竜二くんは突如、走り出そうとした足をとめ、うずくまり、自身の胸を押さえた。
周りの熱血漢の先生や照良くんのほか、クラスメイトがみんな心配して集まってきている。
「だ、大丈夫!ちょっと疲れちゃっただけだ!!」
「さっき遊び過ぎたかなぁ~…。竜二、あまり無理するなよ」
「そうだな、へへ…。ありがとう!照!」
「花梅!辛くなったら先生に言えよ!!」
自分が変になっているとか、体調が悪いだとか、できれば人に言いたくない。
俺は大丈夫だ!なんともない!変なところなんてどこにもない!!
そう思い、照良にクラスメイト、先生に笑顔で返事を返すと、周囲も納得して授業に励んだ。
まだ胸がドキドキしている。
自分は一体どうしてしまったのだろうか…。
さっき走ろうとしたとき、シャツが乳首に擦れてジンジンして、腰のあたりがゾクゾクしたんだ。
正義がいつも弄っている俺の乳首。
日に日に、少しずつだけど、感じるっていうのか?ゾクッてして変な感覚がするようになってきている。
最近ではふとしたときに動くとシャツに擦れて乳首が反応するようになってしまった。
「なんでもない。気のせいだ」
竜二くんは独り言をポツリと言うと立ち上がり、持久走に混ざって走り出した。
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