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2 密やかな恋(2)

 それからほどなく、週明けに会いたいとガナー・ブラウンから連絡があった。 『あんたのホットバーがほしくてたまらないよ』  相変わらずメールの文面は呆れるほど下品だったが、エドアルドにとっては何よりも待ちこがれていた言葉だった。  ガナーとの情事を思い出すと、体の芯が渇望に灼けつく。  突沸する情欲を抑えようと思って目を閉じれば、今度は瞼の裏に彼の面影が強く押し寄せ、その焦燥で疼きがますます深まるのだ。  彼は、いい声をして啼く。  突けば突くほど火照った肢体は締まりを伴って弾み、気色ばんだ肌が汗で濡れる――今すぐにでも、抱きたい気分になった。これは中毒だ。  ロレンツォに内緒でニューヨーク行きのチケットをとった。  アメリカへのフライトは面倒だが、この距離のおかげで誰からも邪魔されずに逢瀬を楽しめる。それを思えば、贅沢は言っていられない。アメリカの都会での情事は、古錆びた城の生活を忘れさせてくれるのだ。アルコールのように甘く、麻薬のように刺激的に――――。  二ヶ月ぶりのペントハウスにはすでにガナーが到着していた。彼は連日連夜の野外ツアーで、以前よりも健康的に日焼けしていた。  久しぶりのマンハッタンである。窓からはセントラルパークをはるか眼下に望み、罪を犯して堕ちた銀河のごとく摩天楼は無数の煌めきに瞬いていた。  しかしその美しい夜景を味わう余裕もなく、二人は抱きつき、激しいキスを交わしていた。  貪っては唇を()みあった。角度を変えてはぶつけるように舌を求めあい、刻々と乱れる息遣いと一つ一つの唇の重なりの感触を痛いほど堪能する。  先に舌を入れてくるのはいつもガナーだった。  長身のエドアルドよりもいくぶんか背の低い彼は、顎をあげてエドアルドの唇にむしゃぶりつく。  ガナーは素直で直情的だ。そこが魅力の一つであり、エドアルドは可愛くてならない。 「ぁ、あん、……ふっ」  キスをしながら甘えた声をあげる。  エドアルドは片腕で彼の体を固く抱き、もう片方の手でしっかり頭を掴んで、舌を吸い込んだ。限界まで突っ込んでくるそれを味わうように、ギリギリと噛む。  上等のレアステーキのような歯応えに伴い唾液が(あふ)れる。ガナーの首筋を淫靡に濡らして落ちてゆくそれを想像するだけで、下半身が興奮した。  かなり痛いはずだが耐えているのだろう。うっすらと目を開けると、ガナーの目尻が濡れている。それもたまらなく色っぽい。  二ヶ月は長かった。気が狂いそうに長かった。その穴を埋めたい一心で相手を求める。  舌の感触を確かめあって、待ちきれないガナーはエドアルドのシャツのボタンをせわしなく外す。  エドアルドも高ぶる欲望を抑えきれないまま、ガナーのシャツを捲った。二つの引き締まった体がひたりと重なる。さらに密着させようと強く抱きあった。  ガナーの唇が降下していく。エドアルドの胸の実の突起を堪能し、さらに下のものに向けて舌を這わす。 「シャワーを浴びてくる」 「オレは、いい。そのまんまのあんたが欲しい…」  そう言うガナー自身はすでにシャワーで体を清めていた。  エドアルドの前にひざまずくとすでに限界まで硬度を帯びたその雄を口に含む。荒れ狂う快感の中で長い金髪を掴んだ。シャワーの名残で濡れていて、絹布のように触り心地が良い。  馴れた舌がカリ首を攻めてくる。男を射かせる手練を知り尽くしている淫蕩な口だった。エドアルドはすぐに達しそうになった。 「おい…終わらせるつもりか」  エドアルドが唸るとガナーが軽く笑う。 「こんなんで、イっちゃう?」  生意気な。相変わらずだ。  プライドを悪戯に擽られ、エドアルドはガナーの頭のサイドを掴むと、荒々しくピストンを早めた。時おり喉の奥まで届き、ガナーが(えつ)く。  口内独特の感触に腰が燃えたった。本能のまま絶頂を感じとると、彼の後頭部に手を添え、ぐっと己を押しつける。  最奥へと噴射した。不味い液体を不要に味わわせないためだが、それなりにガナーはきついだろう。その喉がごくりと大きく鳴る。 「最高の喉ごし」  舌先を見せてニヤリと見あげてくる。  若い豹のように危険で、野生的で、美しい。

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