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第53話 夫夫生活 解禁!?

 俺と子供達が退院して、早三週間。  早いよね。もう三週間も経ったよ。  子供達は生後一ヶ月。だけど、一ヶ月早く生まれたから、修正月齢でいうと生まれたばかり? 多分、体重も正期産で生まれた赤ちゃんくらいだと思う。  俺はこの三週間を振り返る。  帰宅した日から、目まぐるしい怒涛の双子育児の始まりだった。  新生児だからね。ほとんど寝てるよ? 寝てる時は良いんだ。可愛い寝顔に癒されるから。でも、双子あるある?かな? お腹空くとほぼ同時に泣くの。授乳するんだけど、一人ずつしか出来ないからもう一人は待たせる事になる。足りない分はミルクで補うから大和がミルクを作るんだけど、首座ってないから片手で抱っこして…なんて器用な事は出来ないから、基本、一人は泣きながら待つ。お腹空かせて泣く我が子の姿が切なくて、俺、何度か泣いたよ。  何故だか、オムツ換えも同時に要求する息子達。これは大丈夫。大和と一人ずつ担当出来るから。  沐浴担当は大和で、俺は洗い終わった子から着替えさせる。のだけど、素早く着替えさせないと次の子が出ちゃうから、慣れるまでが大変だった。だって、赤ちゃんの体って柔らかくてふにゃふにゃしてて、気を付けてないと傷付けそうなんだもん。  夜中の授乳も大変だった。二時間から三時間間隔! ミルクは腹持ちが良いから完全母乳育児よりかは間隔は長いって言われたけれど、ウチの子、双子! そう! かかる時間が二倍なの! 二人いるから交代で起きて世話をするなんて出来ない。一緒に起きて世話をして、やっと寝たと思ったら次の授乳……。朝起きた時には、二人揃って生きた屍状態だよね……。爽やかな朝日を眺める余裕もない……。それでも不思議と苦にならないのは『愛おしい』から。夜寝られない分は、昼間交代で仮眠を取る事で乗り切った。授乳は大変だけど、昼間はお腹満たしてオムツが綺麗ならご機嫌だから。夜はやっぱり薄暗いから怖いんじゃないかな、と思う。大人だってそういう時、あるもんね。    時は少し遡って……。  退院した翌日から、『家族』が順番に訪ねて来てくれた。まあ、目的は孫達、甥達に会うことなんだけどね。実は、病院には面会に来てもらえなかったんだよね。俺が入院してたのは、産科病棟の中でもΩ妊産夫(婦)だけが入院するΩ病棟だったから。αは、夫か番、十歳未満の実子しか入れない決まりがあったの。一ケ瀬の家族はみんなα。大和が携帯電話で子供達の写真を撮って家族全員の端末に送ってたけれど、直接会えるのを待ってみえたからね。  勿論、事前にアポを取ってから来たよ? 俺はいつ来てもらっても構わなかったんだけど、大和がしっかり「来る時は前もって連絡してくれ」って電話で言ってた。確かに、突撃されるよりも訪問日時が判ってたからほうが助かるけれども。  正直言って、家族の訪問はありがたかった。特にお義母様と朝陽が! だって、何も言わなくても自然な流れで子供達の世話してくれるの。経験者ゆえの余裕? 授乳以外は沐浴までやってくれたから、俺も大和も大助かりだったよ。俺なんか、気が付いたら寝てた。ふわふわ幸せな気持ちで目を覚ましたら、お義母様が俺の頭を撫でてくれてた。俺、泣いちゃった……。それで、何を思ったのかお義母様がいきなり俺を抱き上げて、向かい合わせで膝抱っこ。何が何やら解らないままに優しく微笑まれて、不覚にも一度引っ込んだ涙がまた溢れてきた俺は、お義母様に抱きついて泣いた。自分で思うより気が張ってたんだなぁ……。これ、退院してから十日目くらいの事。上の子が赤ちゃん返りするのはよく聞くけど、俺が『赤ちゃん返り』したっぽい。思い出すと恥ずかしい……。実母以外では大和にしかされた事ないよ、膝抱っこ……。お義母様といえどαだし、大和が怒るかと思ったけど、そうでもなかった。訊けば、お義母様は確かにαだけど、大和の中では『母』という性なのだそう。よく解らない理屈だ。ちなみに、「父と兄だったら超絶嫉妬する」らしい。どんな基準?   そんな訳で、周りに助けられながら三週間を乗り切り、今日は俺の産後健診&絆と紡の一ヶ月健診で、病院に来ています。  まずは子供達の健診からね。俺、初めて知ったんだけど、赤ちゃんの健診って産科じゃなくて小児科なんだ。赤ちゃん=子供だから。生まれてから退院まで産科にいるのは、ママが産科だからだって。でも、生まれた直後から赤ちゃんは小児科担当で、もし生まれた時に病気が見つかれば、小児科で診るんだって教えてもらった。  子供達は順調に成長してるって。体重も絆は千グラム、紡は七百グラム増えてた。体重差は少し開いちゃったけれど、元気だから問題ないよね。  次は俺の健診。双子はパパとお留守番。産科外来の待合室だけれども。呼ばれて、俺は一人で診察室へ。  経過は良好だって。帝王切開の手術痕も綺麗に塞がってるし、二人分で伸びきった子宮の戻りも良いって。ただ、次の妊娠出産は一年以上開ける様に言われた。双子産んだばっかだし、予定はないけどね。そりゃあ、いつかは欲しいと思ってるけれど。 「経過は問題ありませんから、そろそろ夫夫生活を再開されても大丈夫ですよ」  唐突に先生に言われた。 「え……?」  一瞬、意味が解らなかった。夫夫生活って? 俺達もう夫夫だけど……と、阿呆な事を思った俺だけど、 「夫夫の営みの事ですよ」  先生がご丁寧に言い直してくれた。  夫夫生活…夫夫の営み……。  …………  ボンッ!  ようやく思い至り、俺は顔から火を吹きそうになった。  夫夫の営み…つまり、夜の夫夫生活…更に分かりやすく言うと、『セックス解禁』…である。  産科の先生って、そんな事まで言うんだ……。  しかも、 「いきなり激しいのはダメですよ? これは旦那さんが気を付けるべき事ですが、最初は様子を見ながらゆっくりと、です」 「……はい」  これは先生によると思うけれど、ついでの指示までされて、俺はあまりの羞恥プレイに穴があったら入りたくなった。いや、もういっそ埋まりたい……。  こうして、途轍もない羞恥心を残し、俺の産後健診も無事に終わった。  経過が順調なのは良かったけれども……。  ねえ……。

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