14 / 22
特別な一日の終わりに(2/2)*
「準備というのは、他の誰かの手を借りるのか……?」
俺の頭に顔を寄せているらしいギルの声が、俺の頭にまるで直接尋ねているように響く。
は? ここでもヤキモチかよ。
あーーーー、くっそ、何でこれを可愛いと思うんだろうな俺は!?
「俺が自分でやるよ、誰にも見せねーし触らせねーから」
苦笑とともに答えながら、俺は腕を伸ばしてギルの頭を撫でてやる。
「そう……、そうか……」
ホッとした様子が、すげー可愛い。
そんな風に思ってしまう自分にまた驚く。
今まで俺のことを独占しようとしてきた奴は沢山いたが、そーゆーのは迷惑だと思うばっかりだったのにな……。
なんで、ギルには許しちまうんだろうな……。
「その準備というのは、私にも手伝えるだろうか」
「あ……? 何、やってみてーの?」
「ゼスに関わる事なら、全て知りたい」
うお、重っっっ。
俺は、お前には一生話したくねー事が山ほどあんぞ?
「んじゃあ、洗浄は俺がすっから、解してもらうかな」
「洗浄……?」
「ギルお前……俺のうんこ見て萎えねぇ?」
半眼で問えば、なぜかギルは瞳を輝かせて胸を張って「大丈夫だ」と答えた。
何でだよ!?
結局、ギルはなぜか俺の身体の下準備を真剣に見て覚え「次からは私がゼスの支度をしてやれそうだ」とまで言った。
いや、なんでお前が俺の準備をする必要があんだよ!?
興味あんなら教えてやってもいーか、くらいの気持ちで見せてやっただけで、次からお前がやれなんて言う気はサラサラねーし。
そもそもお前は仕事が終わったらこの町を出るんだろ!?
そう思うと、なぜか胸がズンと重くなる。
あーあ、情が移り過ぎちまったかな……。
ギルはガタイの割に顔が優しげだからか、意外とチビ達も怖がる事なく会話してたし、最後にはおんぶとか抱っことかねだるくらいには懐いてたからな。
ギルとの別れ際に「またねーっ、また遊んでねーっ!」と繰り返していたチビ達は、半分は財布狙いなのかも知れねーが、また遊びたいのは本当なんだろう。
そんなギルとの別れを惜しむ様子を見ていたら、俺も何だか、ギルと別れるのが寂しいような気がしてしまった……。
「ゼス……?」
ギルは囁くように尋ねて、俺の胸に顔を寄せる。
仰向けの俺の上に覆い被さったギルは、大きな身体を屈めて俺を愛でていた。
ギルの大きな舌が俺の胸の突起をべろりと撫でると、それだけで腰が震えた。
「ぅぁ……っ」
思わず零れた声に、俺は手の甲で口元を押さえた。
……なんでだよ……。
他の奴に抱かれてる時は、このくらいの事で、こんなにゾクゾクなんてしねーのに……。
ギルに触れられると俺の身体は、なんだか、おかしくなってしまう。
「……他の奴の事を、考えていたのか……?」
俺の胸の突起を口に含んだままギルがくぐもった声で尋ねる。
ほんのそれだけの振動にすら、ゾクゾクとした甘い痺れが俺の下腹に溜まる。
「っ、そこで、喋んなっ」
俺の言葉に、ギルがむすっと拗ねたような顔をする。
だからお前は、俺相手に嫉妬してどーすんだよ。
「他の……奴じゃ、ねーよ……。ギルの事、だよ……」
上がる息の合間から正直に答えた途端、胸の尖りに歯を当てられた。
「ぅあっ」
俺の意思に関係なく、びくんと大きく腰が跳ねて、俺の口から勝手に声が漏れた。
……っ、そんな強く齧られたわけでもねーのに……なんで……。
恥ずかしさに、カァッと顔が染まる。
くそっ、なんでこんな……勝手に動くんだよ、俺の身体……。
コントロールできない自分の体が、裏切られたみたいで許せないし、ものすごく恥ずかしい。
「ゼス……、貴方は、どうしてそんな……」
何がだよ!?
知るかよっ!!
俺が聞きたいくらいなんだからな!?
俺は内心で逆ギレしながらギルを睨んだ。
ギルはなぜか困ったような顔で俺を見つめていたが、その顔は真っ赤だし股間はギンギンなので、俺は「いつまでも服着てんじゃねーよ!」とギルの服を脱がしにかかった。
「ゼス!?」
「っ、早く俺に入れろってんだよっ!」
取り出したギルのそれは、既に十分な硬さでそそり立っている。
やっぱギルのは特別でけぇよな……。
先端から滴り落ちそうな雫を見て、俺は思わず舌を伸ばした。
「!?」
俺に舐められてビクンと大きく跳ねたギルのそれが、サイズに見合わぬ繊細さで、なんだか可愛い。
ギルのこれが、早く欲しい。
そんな風に思ってしまうのはどうしてなのか。
まだ腹も膨れてるし、あんま動きたくねーのに……。
さっさと済まして休みたいって事なのか……?
俺はギルの顔を見上げる。
ギルは俺をギラギラした琥珀色の瞳で見下ろしていた。
ああ、俺に欲情してるって顔だ。
ギルが、俺が欲しくてたまんねぇって顔してる……。
それがどうしてか、涙が出るくらいに嬉しい。
ギルの望みに応えるように、俺の腹の奥が熱く疼いた。
俺は自分の足を抱えて大きく開くと、ギルを誘う。
「ギル……、なぁ、早く……」
「っ、そんなに煽らないでくれ。優しくできなくなってしまう……」
ギルは弱った様子で言いながらも、俺へ優しく入り込んだ。
あぁ、これ……っ。
ギルの……デカ過ぎ、ん、だろ……っ!!
「ぅ、あ、あ、あ、ぁあ、ぁぁっ、ぅ、んっ」
ゆっくり進むギルに、ミチミチと内側を強引に押し広げられていく。
そのたまらない感覚に、次から次へと嬌声が溢れる。
「ぅぁ、ぁ、ぁああんっ」
しかしそれも、ギルのモノが奥へ進むほどに吐き気に変わっていった。
「っ、ぐ、ぅ……っ」
ぐっ……、やべぇな、腹が膨れてる上にギルのがデカ過ぎるせいで、奥まで突っ込まれっと、胃液が上がりそうだ……。
脂汗を浮かべる俺に気づいたのか、ギルが動きを止めた。
「苦しいか、すまない……」
そろそろと腰を引くギルに、俺は唖然とした。
は……?
なんだよ、それ……。
ギルは、俺が辛かったら突っ込んでる途中でもやめれるってのかよ……。
正直、目の前の出来事が信じられなかった。
だって、ギルだってあんなに、俺をめちゃくちゃにしたいって顔してただろ……?
ギルのだってあんなにガチガチで……。
なのに、今、そんなとこでお前……止められるのかよ……。
よく見れば、薄明かりの中でギルはグッと眉を顰めて、歯を食いしばるようにしている。
脂汗浮いてんのはお前もじゃねーかよ。
なんでそこまで我慢する必要あんだよ。
俺は金でお前に買われてんだから、好きなように犯せばいーじゃねーか。
俺の中から抜け出したギルが、眉間の皺を解きながら、熱い息を「はぁ」と吐いた。
ああ、ギルは俺の中で腰を揺らさないように、ずっと耐えてたんだ。
それに気づいた途端、ぎゅっと胸が締め付けられた。
最中の奴らはいつでも自分の快感を追うので手一杯で、こんな風に俺の体調を気遣われた事なんてなかった。
それは俺を金で買った奴だけじゃない。
昔付き合ってた男だって、最中に俺の顔色まで見てる余裕なんてなかった。
「ゼス、大丈夫か……?」
ギルはそのまま呆然とする俺の背に手を回すと、俺の身体をそっと起こして、背をさすった。
待て待て待て、紳士的過ぎるだろ!?
お前の性欲はどーなってんだよ!?
「ギル……」
「どうした?」
いや、どうしたって聞きたいのはこっちだが!?
「何で、やめたんだ……?」
「ゼスが苦しそうに見えた」
「……っ」
息が詰まって、涙がこぼれそうになる。
何でだよ……。
なんでお前はそんなに俺に優しくするんだよ……っ。
そんなに優しくされたら、ギルと……もっと離れたくなくなっちまうだろ……?
「違ったか……?」
ギルの静かな声に尋ねられて、俺は黙って首を振った。
「いや……助かった。……悪ぃな、マジで……」
答えた俺の声は、自分が思うよりもずっと情けなく震えていた。
だって、俺から入れてくれってねだっておいて、いざ突っ込まれたら吐きそうだなんて、カッコ悪ぃにも程があるだろ……。
ギルはまだガチガチにそそり立つそれをそのままに、俺を優しく膝の上に抱き上げた。
「少しは落ち着いたか?」
ギルのバリトンボイスが優しく囁くと、胃は落ち着いても腹の奥の方が疼いてしまう。
俺は目の前で立ち上がりっぱなしのギルのそれを両手で包んだ。
「っ……」
ギルが小さく息を詰める。
俺はギルのものを扱きながら反省を込めて謝る。
「ごめんな……」
やっぱ欲張って食い過ぎたのが良くなかった。
「謝らなくていい」
ギルの声はいつもより低い。やっぱ『ごめん』はギルには禁句か。
「じゃあ……、ありがとう、ギル」
俺が精一杯の笑顔を向けると、ギルは動揺するように瞳を揺らして、それから薄明かりの中でも分かるほどに顔を真っ赤に染めた。
ああくっそ、こいつ本当に可愛いよな……。
俺の笑顔ひとつで真っ赤に染まるギルが、どうにも可愛くて仕方がない。
俺はこの夜、ギルをこれでもかって程、手やら脚やら髪やらでイかせてやった。
ともだちにシェアしよう!

