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第14話 新しき愛巣へ

新しい家は、家というかほぼお城みたいなサイズだった。 馬車を降りながら「ユーフォルビアは気に入るだろうか…」とクロード様が心配そうにつぶやく。 「ええっと…、今のところ外観はすごく素敵だと思います」 と思ったことをそのまま伝えると「そうか…」と安心したような顔になった。 まあ、ちょっとデカすぎる気はしているけれど。 内装は洗練された住みやすい配色と装飾ではあったけれど、上品だからこそ値段が恐ろしくもある。 過ごすうちに壊したり傷つけたりしないように気を付けなくては… 部屋を一つ一つ案内され、そのどれもが素敵なのでそのまま褒めるとクロード様は嬉しそうにうなずく。 特に私の私室は、私が好きな物や色で溢れていて、相当考えて作ってくれたのだと嬉しくなった。 クロード様のお部屋と書斎は場所だけ案内され、中は見せてくれなかったけれど、私の部屋にベッドがあったということは、別々に眠るということだろうか…。 これ利害の一致による結婚だと分かっている。 けれど…、クロード様とそういうことはしないと分かり、ほっとしたような寂しいような複雑な気持ちだ。 他に私は庭が気に入った。 華美過ぎない控えめな花々が、それぞれが主役というように密かに咲いている。 緑が多くてとても素敵だった。 「クロード様…、私、このお庭とても好きです。 ここでお茶をしたり、本を読んだりしてもいいですか?」 そう訊くとクロード様は嬉しそうに頷き、「それならばテーブルやベンチを用意しよう」と言った。 「それは素敵ですが…、ご負担ではないでしょうか? 私は芝生や土の上に座ることも嫌ではありません」 「大切な妻を地面になんて座らせられないよ。 それに…、君がここが気に入ったというのなら長く過ごせるように工夫するのが俺の役目だから、遠慮しないように」 と言われて私は「それでは…、お願いします」とお願いした。 ここにイスとテーブルが置かれる…、申し訳ないけれど凄く楽しみだ。 一通り見て回ると、クロード様が「なにか変えてほしいところはあるか?」と訊いた。 私は「十分すぎるくらいです。ありがとうございます」と返す。 「なにかあったらすぐに俺に言うと良い。 じゃあ荷物でも片付けておいで」 と言われて、私は自室に入る。 見渡してみて改めて、自分には勿体なさすぎる部屋で、彼には感謝しかない。 利害の一致のために結婚した好きでもないΩのために、ここまで(あつら)えてくれるのは彼が優しすぎるせいなのだろう。 それほど多くない荷物を順番に片付けていく。 その中には、彼からプレゼントされたアクセサリーや服、衣装も含まれている。 いつの間にかクロード様を感じる持ち物がこんなに増えていたんだなと…、少し舞い上がってしまった。 少しでも…、彼が私を好いてくれることがあれば、それが1番幸せなのだけれども…、人の心は1番手に入れることが難しい。 クロード様の様にモテる人ならなおさら。 全て片付け終えたので、クロード様に報告しに行かなくてはいけない。 そう思いつつも、心労を感じた私はふかふかのベッドに腰掛ける。 我が家のベッドの何倍の値段なのだろう… ふかふかに体を預けて目を閉じる。 このまま寝てはいけない、そう思うのに下りてくる瞼に抗えず、私はそのまま眠ってしまった。 ーーーーーーーーーー 私室に荷物を片付けに行ったユーフォルビアが、2時間経っても戻ってこない。 この家に来たからには、彼には自由に過ごしてほしいと思っている。 が、もしかしたら『高いところに物を仕舞おうとして踏み台から落ちて怪我をしているかもしれない』『家具に頭をぶつけて気を失っているかもしれない』なんて想像すると不安で不安で、ついには彼の私室を訪ねていた。 ドアをノックするも返事はない。 ドアに耳を当てても物音ひとつしない。 俺はますます不安になる。 αとΩだからと内鍵を付けたけれど、ドアノブは何の抵抗もなく開いた。 「ユーフォルビア?」 そっとドアを開け、見渡すとベッドに横たわる彼がいた。 どうやら眠ってしまったらしい。 ホッとすると同時に、彼が疲れていることに気付かなかった自分が不甲斐なく思う。 ユーフォルビアは、表情や不調などを隠すのが上手い。 でも、最初からそうだったわけではない。

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