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第23話 挑発

キョロキョロと腕の中から身を乗り出して辺りを見回す。 「クロしゃまは、こんなに視点が高いんですねぇ~」 「ユーフォルビア、頼むから俺の首か肩に捕まってくれないかい? 俺も酒を飲んでいるからそう暴れられると…」 私は言われるがまま、目の前の太い首にしがみ付く。 クロード様の匂いが濃くなった。 なんだか彼の匂いが愛おしくて、そのまま首筋に吸い付く。 「こら、ユーフォルビア!」とクロード様は叱るが、どこ吹く風だ。 クロード様が番の印をくれないと言うのなら、私が貴方につけてやるんだから。 しかし、いくら吸い付けども、私の弱い力では彼の硬い皮膚に鬱血痕を付けることは敵わなかった。 不貞腐れていると、そっと自室のベッドに降ろされた。 「おやすみ、ユーフォルビア」と頭を撫でて出て行こうとするクロード様の手を掴む。 「どうしたんだい?」 困ったように微笑む彼に意地悪な気持ちが芽生える。 だってこんなにあっさり帰ろうとするなんて…、私ばかりが好きみたいで腹が立つ。 「明日お休みなら一晩中付き合ってください」 「えっ!? …、いや、流石にそれは… ユーフォルビアもかなり酔っているし、大人しく寝た方がいいんじゃ…」 「やだ!!」 決して"良いよ"と言ってくれなさそうなクロード様の言葉を遮る。 なぜお出かけは良くて、ベッドはダメなんだろう。 "Ωだろうが何だろうが、男が私に近付くな。気持ちが悪い" ”どれだけ見目が良くても男ではな…。侯爵家も3人も産むなら1人くらい女を産んでくれればいいものを…” かつて婚約者だった人に言われた言葉たちが蘇る。 王太子に何と言われようと、特に傷つきもしなかった。 けれど、同じことをクロード様に思われていたら…、悲しい。 「やっぱり、クロード様も男は気持ち悪いですか?」 「え?」 「ごめんなさい。 男に生まれてしまって…」 「何を馬鹿な… 君が男だろうが女だろうが、俺は君に結婚を申し込んでいたよ。 君の魅力は、性別なんかで左右されない」 「じゃあ、なんで? なんで寝室は別で、ヒートの時しか抱いてくれなくて…、番になってくださらないんですか? 男でも女でも、私にはそういう価値がないということですか?」 パチンと顔を両手で挟まれた。 必然的に彼と目が合う。 「いつも君が言ってくれてただろ、自分を卑下するなって。 そっくりそのままお返しするよ。 君は魅力的で…、いや、魅力的すぎるんだ。 隣にいたら、きっと君の気持ちを無視して何度も求めてしまう。 そうして嫌われるのが嫌なだけだよ。 もっと自分を大切にしなさい。分かった?」 普段の私なら、よく分からなくても”分かった”と答えていただろう。 でも、今日の私は酔っている。 「言い訳じゃなんですか? 私を傷つけたくないだなんて。 体よく断っているだけじゃ…」 そう言いかけたところで荒々しく唇が降ってくる。 その弾力に「んっ」と鼻から抜けるような声を出すと、彼の舌が唇を割り裂いて口内に入ってきた。 控えめに舌で迎え入れると、彼は半ば強引に私の口内を蹂躙した。 すぐに私はくてくてになって、彼が私の顔を両手で挟んでいなかったら、ベッドに崩れ落ちていただろう。 息が苦しくなってきて、彼の胸を叩く。 全然力が入らなくて、ほぼ触れるような力だったけれど。 唇が離れ、私は肩で息をしながら彼を見上げた。 彼は、眉間にしわを寄せて険しい顔をしている。 「無理…、しなくていいのに」と私が呟く。 そんなに嫌そうな顔をするなら、無理に口づけなんかしなくてもいいのに。 「これが無理をしているように見えるのなら、ユーフォルビアは相当鈍感だ」 私はムッとする。 「そうやって鈍感だって侮っているから…、私に好意がないことを見抜かれてしまうんじゃないですか?」 我ながら可愛くない。 私がクロード様なら、頬の一つや二つ張っていたかもしれない。 「好意がない…?」 そう呟いた彼が、手早く私をベッドに押し倒して縫い付けた。 「どこをどう見たら好意がないと思えるんだ?」 そう言って彼が、私にソレを押し付ける。 ガチガチに硬くなり、上を向いているソレ。 私のせいでそうなっている…? 「怖いだろう? 君を怖がらせたくなくて我慢していたのに…」 そう自嘲気味に笑うクロード様。 怖いわけないのに。 「怖くないです。 だから、これを私の中にください」 手を伸ばして彼のソコに触れると、彼は体を跳ねさせた。 「挑発するのはよしなさい。 αの欲望は果てしないんだ。 君がどれだけ泣いて嫌がっても、子種を注ぎきるまで止まらないんだよ?」 彼があやすように私の頭を撫でる。 またそうやって誤魔化そうとする。 「いいもん。 私だけがクロード様のΩじゃないもん。 クロード様も、私のαなんですよ? 貴方が作る子種も全部私のモノです」 そう挑戦的に彼を見上げる。 彼の目に欲情の火が灯った気がした。

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