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第24話 噛み跡※微

突き上げられる動きに合わせて短く喘ぎ声をあげる。 弛緩しきった身体は、自分の意志とは関係なく鳴いた。 結合部からは、ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなるような粘度のある水音がする。 私の愛液だけではなく、彼の白濁も泡立っているに違いない。 「や、くろしゃま…、も、だめぇ」 四肢は緩み切って、クロード様が腰を掴んでいなかったらベッドに倒れ込んでいるだろう。 なのに、腹部だけは強制的な快楽のせいで、意に反して達するたびにビクビクと痙攣している。 きっと明日、お腹が筋肉痛になるだろうとぼんやりと考える。 「君が言ったんだよ、全部注げって。 まだまだ注げるから全部受け入れて」 その言葉に絶望する。 αの性欲を侮っていたわけではない。 ただ、想像をはるかに超えていた。 幾度となく達したせいで、お腹の奥はずっと痺れたようにビリビリしているのに、クロード様のソコが通過するたびに快楽を拾ってしまう。 突かれるたびに達しているのだから、体力も気力も疲弊しきっていた。 それでも切なそうに「ユーフォルビア」と呼ばれると、本気で「やめて」とは言えない。 そんな状態が小一時間と続いている。 「クロしゃまっ、しゅき…、しゅきっ、ん”お”お”」 さっきから獣のような声が私の鼓膜を揺らす。 これは…、私の声? 「ああ…、ユーフォルビア。 可愛い、俺のΩ…」 可愛いとしきりに言われているが、こんな下品な声をあげている男が可愛いわけがない。 清廉で無垢そうなΩ。 そう表現されていたのに、欲に塗れてこんな風な醜態を晒すだなんて、嫌われても仕方がない。 「クロしゃま、噛んでっ、首…、ん”ほぉ”お”お”っ!?」 ガリっと音がするくらい項に牙を立てられて、私は何も出ないペニスを震わせる。 透明な粘液がポタポタとシーツの色を変えた。 ヒートじゃないから番にはならない。 けれど、αからΩとして求められたと勘違いした脳は歓喜に打ち震える。 「ああ…、すごいな。 ここを噛まれただけでこんなに…。 本当に愛おしくてしょうがないよ」 ちゅっちゅっ、とリップ音を立てながら項に吸い付かれると、私はふわふわした幸せな気持ちのまま気絶してしまった。 朝目が覚めると、私は部屋に1人だった。 若干頭痛がする… どうやら二日酔いのような状態になっているらしい。 ふと見た腕が鬱血痕と噛み跡だらけでぎょっとする。 怠い体を引きずって鏡を見ると、全身に赤や紫の跡があった。 特にひどいのは首で、噛み跡が何重にもつけられていた。 これが、彼の執着の跡なのだとしたら、それでも愛おしく感じてしまうのだから恋慕とは病気みたいなものだなと思う。 ドアがノックされ、メイドが部屋に入ってきた。 生暖かい目で見られながら、噛み跡や後ろをケアされる。 「奥様…、その…、首は包帯を巻いてしまっても? 番の跡ならまだしも、今はただの傷口ですから、バイ菌が入ると危ないですので…」 そう言われて頬がカッと熱くなる。 ヒート中ならまだしも、昨晩の私はただプレイとして項を噛ませたド変態だ。 「う、膿んでしまうといけないですから、しっかり巻いていただけますか?」 叶うなら、跡があるところはすべて巻いてほしいくらいだ。 だってヒートの時と違って昨晩の記憶はしっかりとある。 あんな痴態を晒しただなんて…、自分を包帯でぐるぐる巻きにして誰も見えないところに隠してしまいたかった。 「はい?」 メイドは首を傾げつつも、しっかりと手当てしてくれた。 力強い彼の歯形が見えなくなってしまって、少しだけ寂しかった。 執事長に確認すると、クロード様は外出しているらしい。 昨日はお休みだと言っていたし、私が行かないなら出かける意味もないと言っていたのに… ちょっとくらい昨日の余韻に浸ってもいいのでは?と理不尽に彼を責める。 自分で「噛んで」と言ったものの、少しくらい私をケアしてくれてもいいのに… なんて、自分で外出を拒んでおいて結構な言い草だ。 変な意地を張らないで、一緒に過ごしたいから「一緒に出掛ける」と言えばよかった。 次誘われたら四の五の言わずに二つ返事で「行く」と答えようと決心する。 昨晩の寝不足を解消するべく惰眠を貪り、満足した後に少しだけ仕事をした。 昨日断ったことが嘘にならないように。 そうして彼の帰りを待ったけれど、その晩も翌朝も、彼と顔を合わせることはなかった。

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